新しい老人像をもとめて(敬老の日に)
今日は国民の祝日でもある「敬老の日」。 (「敬老の日」にちなんで、総務省が推計した15日現在の65歳以上の人口は2640間人。総人口の20.7%に達した。昨年より83万人増え、人口、比率ともに過去最高を更新した。また、このうち「後期高齢者」といわれる75歳以上の人口は1208万人で、総人口の9.5%に達した。75歳以上のお年寄りの占める割合は、総人口の1割に近づいている。主要国の65歳以上の人口割合は、イタリア19.5%、ドイツ18.6%、フランス16.2%、イギリス16.0%、ロシア13.4%、アメリカ12.4%なのである。世界の中でも日本の高齢者のしめる割合はトップなのである。05年の労働力調査によると、65歳以上の高齢者が働いている人は495万人で、就業率は19.4%だった。これは、米国の14.5%、イギリスの6.3%などを上回り、欧米諸国よりも高い水準にある。)このように統計からみると、お年寄りがどんどん増え、子どもの出生率は減少に転じ、いわゆる少子高齢化社会の到来である。それによって、日本の活力が失われると、憂慮する声が大きい。果たして、高齢者が増えることは、社会にとってマイナスであろうか。長寿は戦争のない平和な社会であって始めて実現できること。今の高齢者たちは、さらに幼い時には、労働と粗食によって、体の基盤をしっかり造っている。この生活のあり方が現在の長寿の元となっている。このような長寿国というものは、今まで人類の歴史の中でも経験してこなかったこと.その意味でも、私たち老年世代は、新しい老人としての生き方を模索し、切り拓いていく先頭にいるのではないだろうか。老年世代が、新しい歴史的な挑戦を今しつつある。。それは、老年世代にとって、素晴らしい生きがいのある時代が到来したことではないか。 国連は、高齢者の力を「将来の発展の強力な源泉」と位置づける方針を出している。自立、参加、ケア、自己実現、尊厳という「高齢者のための国連原則」の上に立って、高齢者の技能、経験、智恵を社会に生かそうという方向である。家という制度のしがらみから解き放たれた、私たち老年世代は、歳を重ねることが、個人としての人格を豊かにしていける人生であることを益々求められる時代に生きている。自立した個としての確立とその尊厳を厳しく自らに課す生活を確立することを求められている。そのための晩年、20年間があるという自覚に到達する必要を痛感している。老年は、体力の衰え、病気などは避けて通りことはできない。その中にあっても尚、その生きる限界に、毅然と挑戦し続ける、気力を磨いていくことが、長く生きてきた者のやるべき生きざまではないか。 生きる屍となって、病院のベットにくくり付けられる最期は御免だ。そのためにはどんな人生を自らの気力や知恵や経験で最期まで生き通すべきか。私たち老年世代に課せられている課題でもある。最期まで次の世代に何かをバトンタッチできる自己でありたい。 かっての封建的な「家父長制」を美化して、その復古が「美しい国」のモラルであるかのように装って、それを子供たちに教え込むことで、この国の「道徳」を復活させ、国家を支配するイデオロギーにしようとしている総裁候補者がいる。時代錯誤もはなはだしい。支配者が愚民を権力で押さえ込むには都合のよい論理だ。 時代は押しとどめることの出来ない勢いで、変化し流れている。そして、その社会のあり方にふさわしい人間像の創造が今こそ強く求められている。個人としての尊厳を高く掲げることの出来る、自立した人間の完成だ。これは全くの道半ば、世界の先進的な国々で、心ある人たちがその新しい生き方を模索して、苦悩しているのが、今という時代ではないか。家族のあり方もその一つである。家族がどのような人間関係で、どんな人格を創造できるかは全くの未知なる新しい課題だ。老人たちも、その家族のありようのなかで、苦しんでいる。探しあぐねている。ある者は過去を懐かしがり、そこにしがみ付こうとしている。又ある者は、新しい老人像を求めて、生活を切り拓いている。そして、この新しい流れは、必ずいづれ社会の主流となって、次にくる若者たちの道に続いて行くはずだ。私は、そういう新しい価値観で生きる老人になりたい。 若い時から一貫して追究してきた、個の確立が、個人の豊かな感性が、家族の強い結びつき、愛情となるようなそんな夫婦であり、親子であるような人生を切り拓くことを、たとえ老いて病に倒れても、続けることの出来る自己でありたい。このテーマはまだ道半ばである。次の世代が、この親の生きざまをどう受け継ぐかで、完成するのではないかと私は思っている。 このブログのもう一人の老人、Mr.Danjoseは、今日18日「敬老の日」に、再び「スベイン巡礼街道」に旅立ちました。前回(2003年)、列車に乗って歩かなかったブルゴスからスタートして、聖地コンポステラまで480キロの巡礼街道を、Mr.&Mrs Danjose の二人で、力を出し合い踏破する旅に、今日、出発しました。Mr.Danjoseは、当年67歳です。アルベルゲという粗末な巡礼宿で宿泊し、ご夫婦で、歩いて秋の街道480キロを旅します。お二人が元気に、無事にこの旅を完遂されんことを。何よりも新しい高齢者の家族のありようを実践しておられるこのお二人に乾杯! Bon Voyage !(「Danjoseの写真花歳時記」にお二人が歩いた「スペイン巡礼街道(10回連載)」を掲載しています。まだご覧でない方ぜひご一覧を)