数学の期末テスト予想プリントを配る教育。
今日も期末テストがらみのお話。現在中学生の数学のテストの出来は極めて悪く、出来る一部の生徒と出来ない大部分の生徒の二極分布をしている。その苦肉の策か、定期テスト前に、予想問題なるものを生徒に配布する教師がいる。予想問題といっても、テスト当日に出る問題と全く同じ、問題数まで同じというものである。その実例を一題紹介してみよう。(今回は1次関数、図形がテスト範囲)予想問題1:(図形、グラフは割愛します。)右の図のような直角三角形ABCがあり、点Pは、Bから出発して、毎秒( )cmの速さで、周上をAを通ってCまで移動する。直角三角形ABCは、ABは( )cmACは( )cmで、点Dは、辺BC上の点で、BDは( )cm である。 点PがBを出発してから、x 秒後の三角形PBDの面積 y とするとき、x, y の関係を表すグラフを解答用紙に書きなさい。この問題の( )の部分は、具体的な数字が入るところであるが隠してある。自分で予測して問題を作り、回答する練習をして試験に臨めばいいのである。しかも問題数も試験本番の出題数と同じで、すべてを予想プリントに予告しているのである。(中間テストの時はそうだった。今回は?)しかも、上記の問題は、当県の公立入試に出題されたそのままなのである。だから子供たちは、どう言っているか。「もう数学、勉強しなくともいい? この予想問題プリントだけやっておけば良い点とれるから。」と言っているのである。子供たちの点数が悪すぎ、教師の勤務評定に響くので、良い点を取るための苦肉の策かも知れないが、これはあんまりだ。数学の学びを通して、子供を育てるという教育の視点がなさすぎるのではないか。子供は自らの頭で考え、回答することに、とても達成感を感じている。子供の目が輝く時である。論理的思考を模索しながら、新しい問題に挑む時、子供は大きく成長する。この子供の成長の機会を教師自ら潰している。どんなに子供の歩みがのろくとも、一歩、一歩学ぶことを通して子供の力を高めることが、今、子供たちの育ちの中で、強く求められている。効率よく成果を上げ、数量でその成果を評価することだけでは、教育や子育てはできない。このような教育や子育ての破綻が、現在の子供たちの低学力にもなっている。このような形で、数学のテストの平均点を上げて、本当に子供の学力がついたと、教育委員会や、国に報告され、教育の効果が上がっていると見なされるのなら、とてもじゃないけど益々子供たちの育ちは、悲惨な不幸なことになる。親たちも、内容がどうであれ、点数がよければ、満足している親がいる。子供の成長には何も役立っていないのに。むしろ子供の育ちに弊害になっている。