再任用楽天生活

とうとう私もモンブランの万年筆を買ってしまった。
予め宣言しておくが、私は字が汚い。悪筆である。
今更ながら、子供の頃、ペン習字を習っておけば良かったと思う。
後悔している。
やはり若いうちの苦労は買ってでもしておくべきである。
そもそも私がワープロに走ったのは、字が汚いから。
字が下手な私にとっては、まさしく「神器」の出現であった。
ワープロが市販される前は「和文タイプ」を愛用していた。もちろん、職場での話だが。
つまり私が社会人になってから今日までの四半世紀、ずっと機械印字でしのいできたのだ。

しかし、ここに来て万年筆が見直されている昨今、私も耐えきれずに買ってしまったのだ。
モンブランである。
もちろん、それまでも万年筆は持っていた。
パイロットである。
こちらは極めて実用性が高く、インクはカートリッジ式だし、キャップもただ引き抜くだけでよい。
瞬発力の高い万年筆である。
筆入れに入れていて、毎日メモ書きに使用している。
自分の手になじんでいて、自分にとって一番使いやすい万年筆だと思っていた。モンブランを買うまでは。

考えてみれば、戦後生まれの私たちにとっては、万年筆は、中学入学の時からの付き合いが当然であった。
学研とか旺文社などの中学生向け月刊誌を年間購読契約すると、付録で万年筆がもらえたのだ。
中学に入学して学生服の胸ポケットに万年筆を差すと、とても大人になった気分だったのだ。
そうだよ、あの時期にペン習字を習っておけば。

モンブランは、書きやすい。
また、重量バランスも良い。
初めて買うモンブランだったので、もっともオーソドックスなモデルを選んだ。
「マイスターシュテュック・トラベラー」というモデルで、これは皮ケースもセットで付いている。
カートリッジ専用タイプである。
ペン先は「Ｍ」
インクはブラックがバンドルされていたが、それを使わず、初めからブルーブラックを差した。
トラベラーの名前に相応しく、ケースにはカートリッジのスペアが６本収納されている。
ペンの本体内にもスペアが１本入っているので、旅行先でもインク切れになることはないのだ。
ま、私は物書きではないので、そんなことは全く関係ないことだが。
ただ、私がこれを選んだのは、初めて買うモンブランだから、キズなどを付けたくないという思いから、ペンケースが必要と考えたわけで、それで、専用ケース付きモデルを選んだのだ。

なにせ、私のパイロットは筆入れの中で、他のペンたちにもまれ、傷だらけになっていますから、モンちゃんには、そんな思いをさせたくないのです。

実はこのモンブランを買うまでに、数ヶ月迷い続けていたのです。
以前、私が店頭でモンブランを覗き込んでいたとき、横から妻が「高い万年筆を買っても、アンタの字は変わらないからねぇ」と。
「もっともだ」と私も自分に言い聞かせ、その場を去ったのですが、片思いは密かに続いていたのでした。
そしてこのたび、沖縄に行った際、免税店でとうとうこの思いを遂げたわけです。
免税店で買ったから、49,000円。


ぐはははははははっ！