― 虚 室 生 白 ―

例えばあの時

あなたに出逢わなかったら

私はあなたを知らなかった

イコール

今の私ではなかった


例えばあの時

あの場所に居なかったなら

恐らく私は

心を動かされなかった

この道を歩まなかった

今を生きてはいなかった


すべてが偶然の出来事なのに

でもそれらは

すべてが必然であり

何もかもが現実への

そして

未来へのプロセスで


しかし

みな分かっていたことではなくて

むしろテサグリなまま

必死でもがき

必死で生きた

そして自らが感じた

決めてきた結果であり


いま

どんなに苦しくても

己が選んだ道を

ブレずに歩み続ける

強い信念を持ちたい


見えない

まだ真っ暗で

出口が見えなくて

でも

いつか必ず

見えてくる


てさぐりでもいい

鈍行でもいい

光の点さえ

しっかりしていれば





例えばあの時

あなたに出逢わなかったら

あなたに抱きしめられる

ぬくもりを

離れる悲しみを

私は感じられなかった


例えばあの時

あの場所に居なかったなら

泣く人を庇うことも

人のために生きる勇気も

持たずに今があった


でも

出逢えたから

そして自らが感じたから

生きたから

今がある


夢しか実現しない

偶然が選んだ

必然の意味を

夢として未来の自分へ

届けたい


例えば今を

生きていなかったなら

それはすべて

残酷な夢と化す


てさぐりなまま

生きている

上を向いて

歩いてる

それだけで

意味がある