つながる
二兎を追うものは一兎をも得ずこれまでの私は、まさにその象徴だった。一度に多くを望みすぎてしまい、結局なにも得られなかった。あらゆることに焦りを感じて、これでいいのだと思えない日々。精神的にも、身体的にも、詰まっている部分があった。そんなどうしょうもない自分が、たまらなくイヤだった。でも、ある時から、何かが変わりはじめた。*常に意識を、今、ここに置く。目覚めた意識を育むために「間」を、置く。その「空間」において内省し、気づき、その結果が、変化として現れる。密接にシンクロする脳 と 体 、心 と 体 。わたしはいつの間にかその静かな「間」に魅了され、自分の根本にある意識の流れを究極的に思いやるようになった。やさしく、柔らかく。すると今まで目に見えなかった万物とのつながりを感じるようになった。わたしこれでいいんだよって思えてきた。今の私には、ガンバルとか、アキラメナイとか、やるしかないとか、そういう感覚はなくなった。 在るのはとても静かな空間と感謝の念。 目を瞑り静かに自分と向き合えば必ず見えてくるものがあって。それは、今までの歯を食いしばって生きてきた自分ではなかった。*夏の終わり、わたしの中のある有機分子が化学反応を起こした。分子と分子が細胞と細胞が組織と組織が器官と器官が化学物質を使って対話をしはじめた。そして奇跡の日々を懸命に生きて、今、わたしのお腹に新たな生命として成長し続けている。欲しかった、わたしの赤ちゃんが、わたしの中に、在 る 。過去も現実も未来にも、懸命に生きている証があって、それぞれに「今、ここ」があって。それらの点と点は、やはり、一本の線でつながっている。どんなに他の点とつながりたくってもがき続けても、つながらないものもある。つながりには、それなりの順序があるのかも知れない。つながりには、つながるだけの己の姿勢が必要なのかも知れない。わたしはこの尊い命をつないで生きたい。