『寄りかからず』茨木のり子
もはや
できあいの思想には寄りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には寄りかかりたくない
もはや
できあいの学問には寄りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも寄りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
寄りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
「苦しみの日々 哀しみの日々」茨木のり子
苦しみの日々
哀しみの日々
それはひとを少しは深くするだろう
わずか五ミリくらいではあろうけど
さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき 初めて気付く
あれはみずからを養うに足る時間であったと
少しづつ 少しづつ深くなってゆけば
やがて解るようになるだろう
人の痛みも 柘榴のような傷口も
わかったとてどうなるものでもないけれど
(わからないよりはいいだろう)
苦しみに負けて
哀しみにひしがれて
とげとげのサボテンと化してしまうのは
ごめんである
受けとめるしかない
折々の小さな刺や 病でさえも
はしゃぎや 浮かれたもののなかには
自己省察の要素は皆無なのだから
(-∧-)合掌・・・天上天下唯我独尊♪
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Last updated
2009年11月25日 11時58分50秒
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