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かりん御殿

平出海軍大佐に聴く(2)

【鈴木】
ハワイに次ぐ大きな収穫ですナ。
【平出】
グワムは日本を攻めようとか、渡洋作戦を遣ろうという場合には、
相当大きな根拠地ですからね。
途中の補給地として、殊に大きな航空母艦として、重要なものです。
【鈴木】
グワムには向うの海軍兵力は大しておらなかったんですか。
【平出】
大したことはありませんでした。
まだ来ないうちにやっちゃったんです。
【鈴木】
将来は相当の物を持って来るはずだったんですね。
【平出】
そうです。しかしグワムはハワイと違いまして
大きな艦隊の根拠地には絶対になりません。
その設備がないんです。
【鈴木】
淡路島の半分ぐらいということですね。
【平出】
そんなものです。

「ウェルズ号の最期」

【鈴木】
それから次にはマレー沖の海戦ですが、
私が向うにいる時、平出大佐もおられたんですが、
フッド号が沈められた時のイギリスの感じとしては、
ダンケルクの敗退よりもショックを受けた、要するに
ダンケルクは陸で敗けたんだけれども、
フッド号がやられたということは、
軍艦だけで国を護り立っているイギリスとして、
ショックが大きいという話だったんです。
ところが、今度はプリンス・オブ・ウェールズやレパルスがやられた。
これはフッド号以上の打撃だという電報が来ておりましたね。
【平出】
フッドどころの騒ぎじゃないですね。
イギリスは国の成り立ちからそうなんですけれども、
とにかく陸軍というものを殆ど問題にしていません。
陸軍が敗けたって大して感じないんです。
ところが海軍には最も精鋭を集めて、これこそは
自分の命の綱と思っているんです。
これが敗ければイギリスは成り立たないんです。
これは日本に地勢が非常に似ているんでして、
海というものをうまく護らない限り国が成り立たないんです。
その海軍が敗けたということは非常な問題ですね。
しかもプリンス・オブ・ウェールズとフッドと比べると大変な違いなんです。
フッドは厚い防御を持っていません。
ただ速力の早いことが何よりの防御力で、
それと相当大きな大砲を持ってるというだけなんです。
ところが、プリンス・オブ・ウェールズは
三万五千トンで、殆ど四十センチくらいの
装甲を持っているんです。
装甲の厚さが四十センチですよ。
そんな厚いもので艦を護ってあるから、
どんなことがあっても沈まない、
キング・ジョージとプリンス・オブ・ウェールズは
不沈戦艦だといっていたんです。
それが飛行機によって攻撃されてまいっちまうとは、
彼等は夢にも思っていなかっただろうと思うんです。

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夢にも思ってなかったでしょうナ(笑)。
驚いた。そして日本人を見直した、という、
当時の英国軍人による文章を読んだ事があります。
人の命が失われる戦争というものとは別次元の
軍人どうしのスポーツ的な勝負感覚とでもいいましょうか。
しかし、その後の、捕虜問題で、英国軍人の
日本軍に対する印象は、劣悪化..。
平出大佐、米国は、ちょっとバカにしている感じでしたが
英国は、それなりに評価していると見受けられます。
よって、英国に対する勝利の方が、より嬉しそうです。

ちなみに、英国における海軍の位置というのは、
誠に平出大佐の解釈とおりだと思います。
また、海戦というものは、海洋上で行われるので
基本的に戦闘員のみが関連するため
Total Warに発展しやすい陸戦とは、かなり違う側面を
持っていると思います。
(陸戦より進歩的な戦闘方式と考えられていたのでは?)
その後、飛行技術の発達で、さらに「進歩的」なはずである空軍も
空襲によって一般人民をまきこむTotal Warに発展するわけですが
第一次大戦までは、陸戦でも、戦闘が、一般人の殆どいない場所で
正面対決の様な形で行われていたので(例えばSoam)
第二次大戦以降の陸戦とは、かなり違った性格のものだったと思います。

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【平出】
だから、私はこう思いますね。
海戦に先立ってプリンス・オブ・ウェールズに坐乗していた
極東艦隊司令長官フィリップスが出した戦いを開くという命令を見ると、
今から日本艦隊と決戦だといっているんです。
ところが、日本艦隊が見えないうちに飛行機にやられちゃった。
飛行機などにやられようとは彼等は毛頭思っていなかったんですね。
【鈴木】
彼は日本の艦隊がマレーを攻撃するというのを聞いて、
その妨害に出て来たわけですね。
【平出】
日本の艦隊をやるよりも陸兵をやりたかったんですよ。
それは北アフリカの作戦で味をしめているんです。
ドイツ、イタリアの連合軍がエジプトに進入して来る、
その時に、あそこは砂漠ですから海軍以外に道がない。
そこでドイツとイタリアの兵隊は海岸を通っている、
そこへイギリスの艦隊が行って、地中海の海岸から
艦砲で射撃を加えたんです。
これは陸軍の大砲とは非常に威力が違いますから、
艦砲でやられちゃ陸軍はたまらないんです。
それでドイツ、イタリアの陸軍もさすがにまいって、
ついに引き退がったという事実があります。
勿論あの作戦をドイツ、イタリアが途中でやめたというのは
暑さのせいもありますが、なかなか進めなかった理由の一つに
イギリスの艦隊からの射撃という物があったんです。
【鈴木】
今度それと同じことをやろうと思った訳ですね。
【平出】
そうなんです。ところが、ノコノコ出て来たうしろへ
日本の飛行機が行ってやっつけた。
そこまでは彼等として考えなかったんだと思いますね。
とにかく自分の艦は沈まないんだ、
世界一の海軍国なんだという考えですからね。
【鈴木】
彼等としても巡洋艦、潜水艦、駆逐艦、
いろいろ引き連れておったのでしょうか。
【平出】
巡洋艦を引き連れておったことは確かですが、
そのほかについてはわかっておりません。
航空母艦は持っていなかったようです。
ハワイであれだけ大きな作戦をやった、
日本艦隊は相当向うへ行っているだろう、こっちへは
あんまり来ないのだろう、そう思って出て来たようです。
しかし、とにかく正々堂々と出て来たんですね。
ハワイの場合はまだ兵隊も寝ているし、幹部は
お留守だし全然予期していなかった。
マレー沖の海戦の場合は
日本海軍を攻撃するという精神でやったんですから、
向うもチャンと準備をしていたんです。
世界一の海軍国だという考えがあったからでこそでしょうが、
出てくるまでは実に正々堂々たるものでした。
【鈴木】
さすがは日本の空中魚雷ですね、あれは一発で沈め得るものですか。
【平出】
いや、一発とはわれわれ思っておりません。
やっぱり何発か中っていると思います。
それから急降下爆撃もやっておりますが、
これも相当の効果を挙げてると思います。
【鈴木】
向うの飛行機の妨害はなかったんですか。
【平出】
それは聞きませんね。なぜかというと、
航空母艦ならば戦闘機を持っておりますけれども、
戦艦は偵察機だけしか持っておりませんから
飛び上がればすぐ日本の飛行機にやられてしまうに決まっております。
日本のに敵かなうという見込みはなし、
そういう事で恐らく出さなかったんだろうと思います。
しかし砲火による防御は勿論十分にやったんです。
それから生き残った向うの水兵の話によりますと、
殆ど全部命中です。殆ど全部の爆弾が
二つの戦艦に中っているというのですね。
【鈴木】
救われた英水兵ですね。
【平出】
駆逐艦か何かに何百名が救われて、シンガポールへ帰った連中が、
そんな話をしているようです。
無駄だまが一つもないそうですよ。
【鈴木】
プリンス・オブ・ウェールズは、大西洋でルーズヴェルトと
チャーチルが会談したのに使った艦ですね。
【平出】
そうなんですよ。あの洋上会談は、私共の聞いているある情報では
どういうふうにして枢軸国をやろうか、
殊に主として日本に対する対策を練っておったらしいですね。
ドイツ、イタリアじゃなくて、主に日本に対する策略だったらしいんです。
その日本に対する策を練っていた軍艦が日本のためにやられたんですから、
その艦上で得意になっていたチャーチルとルーズヴェルトが
今日どんな顔をしているか、実に皮肉なことだと思いますね。
【鈴木】
歴史の大きな皮肉ですね。
沈められに来たようなものですね。
【平出】
そうなんです。シンガポールへは十二月の二日に来たんですからね。
フィリップスが長官として日本をやっつけるんだといって
意気揚々やって来たんですが、それから一週間でやられたんです。
【鈴木】
そうすると、五億円以上投じたといわれるシンガポールも
主力艦のない大軍港になったわけですが、
主力艦のない大軍港というのは、どんなものでしょうか。
【平出】
意味ないですよ。何のために何億円もかけたのか
わけが分りません。
しかも主将が戦死したことは、ほぼ確実です。
レートンというう中将が長官代理をすでに命ぜられましたからね。
フィリップスが死んでるからこそ代理を命じたんです。
長官が二人あるわけはありませんからね。
【鈴木】
アメリカのキンメル提督はどうです。
【平出】
生死が分かりません。
ただ、ハワイ敗戦の責任者を軍法会議にかけるといって、
その氏名を出している中に、キンメルの名前がないんです。
ところが、キンメルこそあの敗戦の最高責任者ですから
その名前がないのは死んでるからじゃないかと思います。
【鈴木】
キンメル麾下(きか)の司令官で戦死したのがありましたね。
【平出】
戦艦第一戦隊の司令キッド少将は戦死が確認されております。
【鈴木】
旅順沖に於るマカロフの戦死みたいなものですね。
【平出】
あれは機雷でしたけれども、今度は積極的に進んで行って
やっつけたんですから、マカロフの戦死みたいなものですね。
【鈴木】
ルーズヴェルトの慌て方、驚き方は、実に想像外だと思いますね。
ルーズヴェルトという先生は坊ちゃんであり、
野心家であり、名誉心が強すぎ、
そうして日本に対する理解が全然なかったんです。
恐らくリンドバーグ一派が、それ見たことか!といって、
或る意味では手を叩いていると思います。
ルーズヴェルトは失神しやせぬかと私は思いますよ。
あの人は私はそう偉大な肚がある人とは思いませんね。
政治屋です。政治家だとは思いませんね。
【平出】
政治屋です。政治家ならば、この戦争を避けるように
持ってゆかなければなりませんからね。
【鈴木】
それがほんとうの政治家です。しかしわれわれとして
考えることは、とにかく世界一の富と資材と、
そうして海軍力を持っている彼らとしては、
この不面目を何とかして取り返そうとするでしょうね。
誰よりもまず先にルーズヴェルトがそう考えると思うんです。
【平出】
そうでしょうね。
【鈴木】
その場合、考えられることはどうでしょうか、日本に向って来る策は。
【平出】
日本もやり得たんだから、彼らもやり得ると思って、
奇襲作戦をやりはしないかと思うんです。
男ならそうやるべきですよ。
それから次に考えられることは、
英米の艦隊を合わせるのを待って作戦するんじゃないかと思うんです。
パナマ運河によって、すぐ彼らは力を一つにできるんですよ。
しかし、独伊が宣戦布告しましたからね、
相当な艦隊を太平洋に持って来ることもできません。
【鈴木】
もう大西洋は空けられませんね。
【平出】
そうなんです。その考え方ももう駄目です。
その次に考えられるのは講和です。
まだほんとうに潰れてしまわないうちに講和しよう
という案もありはせんかと思うーー(脱字)ー
【鈴木】
私は英米が力を一つにすることを、まずやるんじゃないかと思います。
【平出】
それは非常に可能性がありますね。
【鈴木】
”貧は泣き寄り”でこうなると一緒になるより仕方がないでしょう。
【平出】
私は、やがてイギリスはアメリカに合併されるということを、
前から考えてるんですが、これでその時機が早まったんじゃないかと思います。
【鈴木】
非常に早まりましたね。
ーーそれから日本の太平洋制覇ということも時日の問題と思いますが、
晩かれ早かれマレー半島も蘭印も日本の勢力下に置かれると思います。
その時はインドも危うくなるーーというよりも、われわれはインドを衝き
蘭印を奪って了えば一衣帯水の豪州も衝く。
そうすると、今イギリスの最も大切な資源の宝庫である豪州も
ニュージーランドもインドも抑えて、少なくともイギリスとの
交通路は極めて容易に遮断し得る時機が来ると思います。
【平出】
すでに遮断されてると向うは思ってるでしょう。
事実もう通行できませんよ。
【鈴木】
それは最も大きな痛手でしょうね。
【平出】
致命傷ですよ。
私はもし豪州の人間が悧巧なら、この際
イギリスから離脱して日本と手を結ぶだろうと思います。
それが悧巧な政治家のすることですよ。
先きの運命がもう明瞭なんですからね。
それを今ごろになっても日本に手向かいするなんていうことを
考えていたら大間違いですよ。
非常な過ちだと思うんです。
蘭印も同じことです。
彼らは今まで、自分が困ればイギリスやアメリカが
救けてくれると思って、それだけを頼みにして
日本に対して大きな顔をしていたんです。
しかしイギリスやアメリカに救ける力がないじゃなりませんか。
ありませんよ!
蘭印を救うのは、それを見得るだけの政治家がいるかいないかの問題だけです。
日本に刃向えば元も子もなくなる、日本と手を結ぼう、
そのくらいのことの分かる政治家が、一人や二人いてもいいと思うんです。


=========
講話!!!!!!!
かなり楽観的観測ですが、結構、真剣に期待していたのかも??
当時の日本が好戦的な国だったという批判は、結構よく見かけますし
現在も、それが日本への懐疑心になっている様に感じますが、
実際には、(ある意味、当然ながら)
戦争をしたいために戦争をしていたのではなく
まず、国益、富国のための戦争だったわけで
できれば、戦争、特に長期化は避けたかったのではないでしょうか。
歴史の専門家からすれば、こんな事は、常識なのかもしれませんが
大本営のスポークスマンである海軍大佐が、
敵が講話してくる可能性もあるという希望的見解を
週刊誌で公言している事に、私は、驚きました。

そして、日本と手を結ぶ....
理論としては、わかります。
現に、経済的世界においては、数十年前からこうなっていますし
現在の「多人種多文化」の欧州においては、十分有り得る発想です。
しかし、1940年当時の日本人海軍大佐が、
豪州やオランダが日本と手を結ぶべきと考えているとは...。
当時の、豪州、オランダ...どっぷり白人社会です。
インドネシアを植民地化していたオランダは、さておき
英国の旗下にあったオーストラリアが、「母国」英国を切り
「黄色人種」である日本と手を結ぶには
日本人の想像を遥かに超えた心理的(生理的?)抵抗があるでしょう。
ドイツやイタリアが日本と手を結んだのは、
欧州とアジアという棲み分けが明確だったからではないでしょうか?
どっぷりアジアの中にある豪州にとっては
アジア化することへの心理的抵抗感は甚大であったはず。
当然ながら、その後、時代の変遷とともに、この状況は大変化しますが、
それでも、一部の白人の中に根強く残る多人種への偏見や差別を
現在でも、時に、見つけてしまう私は
この大佐の意見には、悲しいほどの純粋さ、そしてナイーブさを感じました。
このナイーブさは、現代でも、見かけます。

それにしても、「貧は泣き寄り」って...(笑)

============
【鈴木】
マレー沖の海戦について、何かほかにお話はありませんか。
【平出】
なぜマレー沖の海戦という名前をつけたかということについて
申し上げましょう。
これは主として航空隊がやりました。
航空隊が雷撃をし爆撃をしている。
したがってマレー沖の空戦といってもいいかも知れません。
それをワザと海戦としたのは
「潜水艦がチャンと見張りをしていて」
あれがシンガポールから出発したのを発見して、
すぐ無線電信を働かして知らしたんです。
そこで日本の艦隊の主力はこれに対してどうするか、
飛行隊を放してやっつけようそういう決意を定めて、
艦隊長官の命令によって飛行隊が出たんです。
そのうしろには艦隊が控えております。
向うは逃げる、日本の艦隊来たる決戦せんといいながら逃げたんです。
それを追っかけるんですから、速力が五分五分だとすれば
艦隊じゃ追いつかない、飛行機ならば早いからというので
追っかけさせて、艦隊も急行したんです。
飛行隊の攻撃が功を奏さなかったとか、
もう少し時間がかかればそのうちに日本の艦隊が行くわけです。
随って、その作戦たるや、実現はしなかったけれども、
主力艦も巡洋艦も、潜水艦も掃海艇も、無線電信も飛行機も、
殆ど全部の機能が立体的に有機的に働いて行われたものなんです。
そこでマレー沖の海戦といえるわけです。
【鈴木】
なるほど、非常によく分かりました。
ーー最後の締めくくりに、アメリカが白旗を揚げるまでは
戦争は長期でやるという覚悟が必要と思いますから、
その意味で国民に対する注意のお言葉を伺いたいと思います。

「空襲とゲリラ戦」

【平出】
私はこの間の国民大会でも、長期になるということを申しましたが、
それは向うがゲリラ戦を始めることが必至だからです。
正々堂々の渡洋進攻をやってくることは到底できません。
それだけの力が向こうにはあるまいと思います。
そこで勢いゲリラ戦になります。
そのゲリラ戦たるや、そう一挙に片付きません。
水の中にある潜水艦を一つつぶしてゆくということが、
そう短日月にできるものじゃありません。
一つを沈めても次がやってくるということになれば、
どうしても長期戦になります。
そうして向うはそれをやりさえすれば日本がまいると思ってるんですから、
まずゲリラ戦で日本の経済を圧迫する。
その次は思想戦。
更に空襲をもって日本の国民を威嚇するといったような働きを
だんだんやってくると思います。
その空襲ということですが日本はそえをやらせないために、
緒戦において某ックの一番根本である積極防空をやったんです。
マニラにおいてイバにおいて、クラークフィールドにおいて、
グワムにおいて、徹底的に飛行場をやっております。
殊に日本にやって来そうな大型のやつは、殆どみんなやっつけております。
蜂が飛ぼうとする前に、まず蜂の巣を全部叩いたというわけですね。
【鈴木】
北の方から来ることはありませんか。
【平出】
ダッチハーバーからですね。
【鈴木】
あそこから日本に往復できますか。
【平出】
可能です。途中に島がありますからね。
だから、国民はどんなことがあっても驚かないという覚悟が大切です。
【鈴木】
アメリカとの長期戦ですね。
【平出】
そうです。
イギリスのほうが早く片付きましょう。
しかし今度は逆にこっちがインド洋の通商破壊戦をやりますからね。
ともかくも長期戦を覚悟しなければなりません。
【鈴木】
しかし最初にこれだけの猛撃を加えたということが、
どんなに国民の心を明るくし、、海軍に対する感謝を深めたか分かりませんナ。
至る処その話です。敵陣営に対する打撃は大きなものでしょうナ。
【平出】
甚大ですよ。
数がいえませんから甚大というんですがネ、
私は海軍ですから何でも数でいいます。
海軍から数を取ると非常にヘンなものになっちゃうんです。
数字を海軍は離れられないんです。
ですから、甚大なりとか、頗るとか、甚だとか絶対という言葉は、
なるべく使いたくないんです。
何を何隻、何時何分に...といわないと海軍らしくないんですが、
敵国に与えた影響なんていうのは、数ではいい現わせませんからね。
【鈴木】
マニラには相当の潜水艦がいたということですね。
【平出】
二十七、八隻、三十隻ぐらいいたでしょう。
それが今はどこかへ出ています。だから
「日本の近海へ来るかも知れません!」
油断はできませんよ。
【鈴木】
どんな大きさのですか。
【平出】
最新式のやつで大型です。
航続力の長いものでないと日本近海まで来られませんからね。
【鈴木】
アメリカが去年決定した建艦計画書は、いつ完成するのでしょう。
【平出】
彼らは四十四年(昭和十九年)といっておりますが無理ですね、
四十六年(昭和二十一年)です。
しかし永久に出来ないかも知れませんよ。
造る片っぱしから沈めちゃうんですからね。
沈められるために造るようなものです。
こちらは喜びますよ。
いい餌が出来るなんて、航空隊の連中なんか張り切っていますよ。
プリンス・オブ・ウェールズがシンガポールに来たのも、
どんなに航空隊を勇気づけたか分かりません。
【鈴木】
目標が出来たわけですからね。
【平出】
餌がないと張り合いがないんです。
【鈴木】
じゃ、どうも有難うございました。
お忙しいところを...。


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「数字を海軍は離れられない」
海軍の陸軍に対する優越感が感じられます。
私が子どもの頃、親が、親戚(海軍の将校)が、
「この戦争は負ける」と言っていたとの想い出を語っていましたが
陸軍だって、もちろん、数字も情報も把握していたでしょう。
(硫黄島指揮官であった栗原中将の書簡集などを読んでも明らかです。)

当時の日本の上層部と現代の日本の上層部と大差は無いはずだと私は思います。
経験によって、前世代よりも、より「情報通という意味で賢く」なっても
智慧、智能という意味での賢さは、世代によって、相違は無いはずです。
賢い人もいれば、賢くない人も、いる。
情報収集能力/情報処理能力に富んだ人もいれば苦手な人もいる。
情報を把握した人が、常に決断を下せる状況にあるとも限りません。
客観的な判断の上に、国民としての誇りが優先させる事もあるでしょう。

私が子どもの頃、よく
「日本が戦争に負けてよかった。勝っていたら悪い世の中になっていた。」
と、聞かされました。
しかし、今、この当時の海軍スポークスマンの見解を読み
その考えは、一種の「洗脳」だったとの思いを強めました。

「(正義の味方)アメリカが勝った」から「世の中は良くなった」んじゃない。
世の中というものは、「よっぽどマズい(^^;)人為的影響」を
与えなければ、紆余曲折はあるにしても、基本的に
「前世代よりも進歩した方向」へ進むものではないか。
そんな思いです。

もし、この戦争が、長期化せず、大佐の楽観的観測のように
講話が行われていたとしたら、世の中は、どうなっていたのか...

「たとえ日本が勝っていても」
世界中の植民地主義は続いていなかったはず。
第二次世界大戦後、植民地主義が衰えたのは
アメリカが勝ったからではなく、時代の趨向ではなかったでしょうか。
冷戦の終結のように。
そして、今も、世界中で、戦火が消える日は無いように。

現在の日本人は、戦争からは遠い所にいる、つまり、
対岸の火事の如くに、他国の戦争を眺めている様に感じるのですが
この週刊誌記事を読み
戦争は、現在の日本人にとっても、それほど遠い所にあるのではない、
また、戦争へとなだれこんでいった時代の日本人と
平和へ情熱をむける現在の日本人とは、そう変化していない、
つまり、将来が、どの方向に進むかは、全く予想がつかない
と、私は考えています。

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