岡目八目
とある国の、スポーツに関する話だ。この国では、世界的にはマイナーなある球技が、まるで国技であるかのような人気を博している。近年、人気に陰りが見えてきているという指摘もあるが、それでも相変わらず他のスポーツに比べて根強いものがある。プロリーグも人気だが、ハイスクールの大会がそれをも上回る人気ぶりだ。全国大会は年2回行われているが、人気の高いのは夏の大会だ。夏の大会のすさまじさといったらない。この国は8月は気温が35℃を超えるほどの高温多湿の風土だが、そんな中でも連日屋外で、粛々とゲームを行っている。よくぶっ倒れないものだと感心するが、下手したら死人が出てもおかしくない。その全国大会は、1回戦から決勝戦まですべての試合を単独の会場で行う。複数の会場を使って同時進行すればいいものを、恐ろしく非合理的だ。しかもその全試合をテレビの全国ネットでフル中継するというからオドロキだ。通常の番組編成をすべて中止しての、特別編成だ。通常の番組を観たい人からのクレームは無いのだろうか?そしてこの大会は、ブラスバンド合戦も兼ねている。それぞれのハイスクールのブラスバンドクラブは、この会場で演奏するのを誇りに感じているようだ。中には正規のブラスバンド大会を蹴ってでも、ここに来たいというところもあるらしい。でもそれって、本末転倒ではないのかな?極めつけは試合が終わった直後だ。何と勝ったチームの選手が一列に並んで、彼らのスクールソングを歌うのだ。これには開いた口がふさがらなかった。外国人の私から見たらなんとも不思議なことだらけなのだが、この国の国民にはごく当たり前の光景らしい。世界は広い。ところ変わればいろんな慣習や考え方があるものだなあ。