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カテゴリ:最近読んだ本
私は昨年のある日のブログで、
食品偽装などの不祥事の責任の一端は、安さばかりを追及する消費者の無言のプレッシャーと、 いたずらに安さを煽り立てる流通業者にもある、ということを書いた。 その当時、マスコミの論調を見ても私と同じ意見はあまりみられなかったが、 最近読んだ本に、かなり私の考え方に近い本があった。 日本の「食」は安すぎる 『やまけんの出張食い倒れ日記』という人気ブログでもおなじみの、山本謙治さんが書かれた本だ。 内容はひとことで言えば、 日本で作られている食品のほとんどがいかにいい加減に作られているか、といういわば「告発本」だ。 とは言っても、単なる暴露・告発の類だけで終わっているわけではない。 何故にそのような作り方がされるようになってしまったか、その原因は突き詰めればどこにあるのか、 まともな作り方が為されるためにはどうしたら良いのか、というところまで突っ込んで書かれている。 そしてその結論として挙げられているのは、 「あまりに消費者寄りになってしまっている食品業界」の現状だ。 消費者に媚び過ぎるがために、生産現場にしわ寄せがきてしまっている、とも言えるだろう。 このあたり、私が以前に当ブログで書いた内容と似通った部分もあり、我が意を得たり、と思った。 ただ著者の言いたいのはその先だ。 これからの消費生活の中で一番大切なこと、それは良いモノを「買い支える」ことだ、という。 生産者がどんなに良いモノを作っても高ければ売れないとなると、 生産者は良いモノを作り続けていけなくなる。 そうならないためにも消費者は、その商品を買うという行動を通して、 生産者を支えていかなければいけないのだ。 今までに食品業界の暴露本などは数多く出されているが、 大方が「こういうものは買ってはいけない」と声高に叫ぶだけで、 このように次の一歩までも具体的に提案している本には、あまりお目にかかったことがない。 私にとってはまったく新しい視点だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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私はかつてよくあちこちへ飲みに行っていたので、バーなどの閉店もいくつか見てきました。
で、いつも空いていたお店であっても、もう明日は営業しないよ、という晩になると、どやどやと客がやってきて別れを惜しんだりするんですよね。 マスター、こんなにいい店がなくなっちゃうなんて悲しい、なんて口にしたりして。 私は思ったものですよ。 よくもまあ言えたもんだ、だったら営業しているあいだにどうしてもっと利用しないのだ、と。 伝統工芸だって、食品だって、~が失われるのはさみしいといった口先だけの言葉は、まったく役に立ちません。 そのことに多くの人が気付くべきです。 (2009年09月22日 07時36分19秒)
食品偽装に関して言えば、警察に逮捕されるほどの犯罪ですので、いかに言い訳しようと同情の余地はなく、犯罪に手を染めるくらいの覚悟があるのならば、廃業すべきだと考えています。
消費者が良いモノを「買い支える」ためには、売る側も買い支えるに値する商品であることを、消費者に対してアピールすべきだと思います。知らないものは買い支えようがありませんから。ただ、CMにお金をかけて肝心の商品が粗末になってしまってはいけませんが。 個人的には愛知の桝塚味噌(マスヅカ)を箱買いしていたりします。八丁味噌と同様、添加物を加えない豆と塩だけで作った本物の味噌は、大手スーパーでも見かけなくなってしまいました。桝塚味噌の方が八丁味噌より安いので、ありがたいです。 (2009年09月22日 09時46分59秒)
かめともさん、こんばんは。
>伝統工芸だって、食品だって、~が失われるのはさみしいといった口先だけの言葉は、まったく役に立ちません。 >そのことに多くの人が気付くべきです。 私も決して「買い支えている」方の人間では無いので、あまりエラそうなことは言えませんが、消費者というのは勝手なもので、そういうものが必要だ、という気持ちと、そういうものを買おう(利用しよう)という気持ちを混同しているように思います。 要は「行動する」ということからしか始まらないのに、大切に思う気持ちだけで止まっているのが現状のようですが、それはその「行動」が自分にとって不利益だから、ということに他ならないからだと思います。 赤字ローカル線やバス路線の廃止のニュースを耳にするたびに、そんなことを考えます。 (2009年09月22日 17時26分06秒)
noahnoahnoahさん、こんばんは。
>消費者が良いモノを「買い支える」ためには、売る側も買い支えるに値する商品であることを、消費者に対してアピールすべきだと思います。知らないものは買い支えようがありませんから。ただ、CMにお金をかけて肝心の商品が粗末になってしまってはいけませんが。 そのあたりのことは著者も危惧していましたが、良いモノを細々と作っている人に限って、あまりアピールしたがらない、という現状もあるようです。 もちろんCMを打つなどということも考えてないでしょうしね。 それを打開するために消費者が出来ることとして、著者が提言しているのは、消費者一人一人が声を上げることだということです。 何もデモ行進をしたりするわけではなく(笑)、スーパーなどの店頭で、「これこれこういったものはありませんか?」と問い掛けるのです。 その声が数多くなり、店側が売れると判断すれば、放っておいても店頭に並ぶことになるだろう、ということです。時間は掛かるかもしれませんが........。 (2009年09月22日 17時35分26秒)
カナダでは、無農薬野菜やオーガニックの洗剤、リサイクルの紙製品など人気が高いですが、そういうものはどうしても割高です。
主婦が経済的なヤリクリに走り過ぎてしまうと、コストの低い製品に偏ってしまい、安全な製品を作るメーカーの経営が成り立たなかったり、生産コストがますます高くなってしまったりします。 最近は、環境や経済に興味を持つ、ツワモノ主婦も増えてきましたが、目先のことばかりでなく、将来のこと、全体のことを考えたいものです。 そういう意味では、男性が家計を握る方がいいのかもしれませんね。 (2009年09月22日 17時36分42秒)
ふょんさん、こんばんは。
>主婦が経済的なヤリクリに走り過ぎてしまうと、コストの低い製品に偏ってしまい、安全な製品を作るメーカーの経営が成り立たなかったり、生産コストがますます高くなってしまったりします。 >最近は、環境や経済に興味を持つ、ツワモノ主婦も増えてきましたが、目先のことばかりでなく、将来のこと、全体のことを考えたいものです。 どこの国の主婦も、ちょっとでも安く買いたいという気持ちには変わり無いでしょうから、高くても良いモノを「買い支える」ということを実践するのは、実際は難しいことかもしれません。 要は「バランス」と「程度」の問題でしょうね。 家計に無理のない程度に良いモノを買い、その一方であまりに安過ぎると思われるものは警戒する、というところでいいのではないでしょうか。 (2009年09月22日 18時02分06秒)
日本人はけっこう柔軟なんです。だから、「消費者ニーズ」にすぐ対応し過ぎる。それが過剰な価格競争を巻き起こし、結果お互いの首をしめることにもなっている。文化というのはある程度の余裕から生まれますもんね。今のように価値観が「安価」という一点に集中するのは、いろんな意味でよろしくない、と思っています。
(2009年09月24日 14時05分29秒)
magomago55さん、こんばんは。
>今のように価値観が「安価」という一点に集中するのは、いろんな意味でよろしくない、と思っています。 そういう意味で言えば、当節の「主婦感覚」というのにも、ついていけないところがあります。 少しでも安いものを求めてわざわざ遠くの店まで行く、という話がよく採り上げられますが、程度の問題とはいえ、遠くへ行くだけの時間と労力のロスなどをどう考えるのか、私には理解できないところです。 世の中の多用な価値基準が、「おカネ」というファクターのみで判断されてしまうと、結果的にどこかでそのツケが廻ってくるように思います。 (2009年09月24日 20時04分45秒) |