お客のプライバシー
久しぶりにウチの店を訪ねてきてくれた私の友人と店先で話をしているとき、ちょっと気になることを言われた(もちろん当の本人には何ら悪気は無いのだが)。「なんかスカッとしてて落ち着かんなあ(笑)」どういうことかというと、ウチの店は半年前までコンビニをやっていて、専門店に転換するに当たってはそれほど大掛かりな改装をしなかったので、その名残りで前の道路に面した前面が大きなガラス張りになっているのだ(ちょうど自動車ディーラーのショールームみたいな雰囲気)。その上、少しでも外から中が見やすいように、また少しでも店内が広々と感じられるようにということで、そのガラス張りの前面部分には什器・商品などは一切置かないようにしている。つまり店内が非常に開放感がある反面、外から中が丸見えだということだ。そのこと自体は私も当初から認識していたのだが、店内の様子が外からみて見やすいほうがお客にとっても入りやすい店だといえるんじゃないか、という考えがあったので、さほど気にはしていなかった。しかし実際私自身も、外を通る人の目が気になることがないと言えばウソになる。そこへ持ってきて冒頭の友人の言葉だ。ちょっと考えてしまった。店側と客側の感覚は時として違っていたりすることがある。われわれとしては、雑然とした店はマイナスイメージで捉えてしまう(コンビニやってた経験があるからかもしれないが)。実際今のスッキリした店内を見て、いい評価をしてくれる人も多い。反対に雑然としたのが好きと言う人もいるかもしれない。そうでなくともお客も外から丸見えでは落ち着かないのもまた事実だろう。別にウチの店は、中のお客が人に見られて恥ずかしく思われるようなモノを売っているワケではない。しかし中には、自分がここで酒を買っているところを他人に見られたくない、と思う人もいるのかもしれない。はたしてお客のプライバシーに対して、店としては配慮するべきなんだろうか?スッキリした店とガサガサした店、どちらがいいのかはそう簡単には結論が出ないかもしれないが、いろいろと試行錯誤してみるのもアリかな。