小川英明・宗宮英俊・長 秀之『民事訴訟法主要判例集』
小川英明・宗宮英俊・長 秀之『民事訴訟法主要判例集』(商事法務,2009)521頁元東京高等裁判所部総括判事・元駿河台大学大学院法務研究科長の小川英明元判事,元東京高等裁判所部総括判事・元新潟地方裁判所所長の宗宮英俊弁護士,元青森地方裁判所所長の長秀之元判事の3名の共著による判例集。3名とも司法試験考査委員の経験があり,小川元判事と長元判事は民事訴訟法,宗宮弁護士は行政法および商法の考査委員をそれぞれ務めていました。小川元判事は,2011年に泉下の客となりました。大判明治37・6・6民録10輯812頁から最決平成20・11・25民集62巻10号2507頁まで,604件の判例が収録されています。本書には,民事訴訟手続に精通した元裁判官の著者3名が選んだ600件以上の判例が収載されています。そして,収録判例のほとんどが大審院および最高裁判所の判例です。事実と判決(決定)要旨で構成されており,解説は一切ありません。事実には,判示事項に関する事案の概要が簡潔に表現されており,判決(決定)要旨には,判決(決定)文の該当部分ができる限り原文のまま掲載されています。また,体系順ではなく条文順に判例が収録されている点に特徴があります。本書は,民事訴訟法の学習用判例集の中では最も収録判例数の多い教材で,いわゆる判例集の参考書にあたります。したがって,受験勉強の際には,たとえ中古でも手元にあると何かと重宝すると思います。私も,以前は『基本判例 民事訴訟法』を判例集の参考書として使用していましたが,この本の存在を知ってからは,本書を判例集の参考書として使用しています。それでは。