葛野尋之・中川孝博・渕野貴生 編『判例学習・刑事訴訟法』
葛野尋之・中川孝博・渕野貴生 編『判例学習・刑事訴訟法』[第2版](法律文化社,2015)350頁※最新版は2021年6月発売の第3版一橋大学法科大学院教授の葛野尋之博士,國學院大学法学部教授の中川孝博博士,立命館大学法科大学院教授の渕野貴生博士の3名の編集による判例集。平成28年改正には対応していません。102件の判例が収録されています。本書は,論点と結論,事実の概要,法の解釈,法の適用,コメントで構成されています。1判例につき原則見開き2頁というような紙幅の制約はなく,中には1つの判例について9頁も頁数を割いているものもあります。コメントでは,判例の射程について詳細に言及されており,正確な判例の理解に資する内容になっています。解説とは別に法の解釈および法の適用を構成に盛り込む学習用判例集は本書の他にはないので,論文式試験において法の解釈・適用の能力を試される司法試験の受験勉強に非常に適した判例教材だと思います。なお,基本書の中では,『刑事訴訟法の基本』や,中川孝博・葛野尋之・斎藤 司『刑事訴訟法講義案』[第2版](法律文化社,2012)230頁との相性が良いと思います。ちなみに,上記『刑事訴訟法講義案』は,葛野博士,中川博士とともに,龍谷大学法学部教授の斎藤司博士が執筆しています。今回で,刑事訴訟法の教材の紹介は一旦おしまいです。次回からは,民事実務基礎の教材を紹介していこうと思います。それでは。