義祖母と、紙の着せ替え人形
先日、おねだり苦手、甘え下手な性格のことを書いた。7月11日の日記今の私は、物欲は強くない人間だと思う。だが、幼い頃は、物に対する執着心の強さを持ち合わせていた、と思われるエピソードがある。小学校、1~2年の頃の話。養母の実家の母親(母も養女だったので、継母だが)、つまり私の義理の祖母が、息子夫婦と喧嘩して、我が家にしばらく居留した事があった。この祖母の家には、私と同じ年頃の姉妹がいたので、夏休みには、必ず泊りがけで遊びに行っていた。祖母は、昔、小料理屋(一杯飲み屋)を営んでいたことがあり、その道の人らしい雰囲気の人だった。気性が強く、物言いにもそれが出ていたので、私は、怖くて近づけなかった。その祖母が、私に、欲しい物を買ってあげると言った。それまで、飴玉の1個すら、買ってもらったことがなかったから、とても驚いた。近所の駄菓子屋さんへ、祖母と母と連れ立って行った。そして、着せ替え人形と塗り絵を買ってもらった。着せ替え人形と言っても、厚紙に描かれたカラフルな絵の人形や洋服などを、切り取り、いろいろな服を着せ替えて遊ぶのである。昭和レトロ「着せ替え人形」小さな女の子(紙物) 02P10Feb14【13-Feb】 【17-Feb】 【19-Feb】価格:2,700円(税込、送料込)t昭和レトロ 紙物(面子、着せ替え、かるた、ぬりえ、お雛様 昭和レトロ紙物 [ぬりえ-お城の...価格:2,700円(税込、送料別) 私は、買ってもらったものを大事に抱え、これから訪れるだろう素敵な時間に胸をわくわくさせていた。そうして、帰り着くなり、袋から取り出して、かわいい人形や、きれいな服の絵に、しばらく見惚れていた。「ちょっと、見せてごらん」・・・祖母の言葉に、どきりとした。大切なものを胸に抱き寄せて、わたしは、瞬時に固まってしまった。そばにいた母が、「ばあちゃんが見たいってよ。」「・・・・・・・・・・・」「ちょっとぐらい、いいじゃないの。ほら、貸してごらん。」いま、渡してしまったら、きっと、もう戻ってこない。・・・・・そう、強く思った。「いや、 いやだ」思わず、激しい声で叫んでいた。見る見るうちに涙が溢れ、すぐに嗚咽となり、私の泣き声は止まらなくなってしまった。そんな私の姿を、母も祖母も、呆然とみていた。結局、何ひとつして、さわらせなかった。これが、義祖母との唯一の思い出である。こんな依怙地な子供だったから、私は、まわりの大人に可愛がられることはなかった。