|
カテゴリ:オタク、萌え
「コーリャンのニギリメシ」の解説 山中直樹記 北満州から、やっとの思いで逃げ出してきた少年が一人、一言の言葉も発することなく、胸の肋骨を見せるように、首まで着ていたシャツを持ち上げたのです。 描かれているように、そのやせ細った「ロッ骨」と腹ペコの様子から、如何にほうほうの体で逃げ出してきたかが、一目瞭然だったのです。 それを見た「オフクロ」さまは、「コーリャン」と大豆を混ぜた「ニギリメシ」を作って差し出したのです。 今日のようなお米だけでなく「コーリャン」に「大豆」を混ぜた「オニギリ」だと言うことは、如何に、食料が不足していたかを示すものでもあります。 「オフクロ」さまは、食べたい盛りの我が子に、満足に食べさせられないにも拘らず、あるだけの「ニギリメシ」を見ず知らずの子供に与えたのです。 それを見守る小山少年の視線も優しく、素晴らしい。 「コーリャン」に「大豆」が混ざっている「ニギリメシ」を、子供心にしっかりと記憶しており、描けるところに、既に、少年の目に画家としての片鱗を見ることが出来ると思います。 少年のロッ骨、両腕は太目の線で描かれ、強調されています。 凹んだ腹部も、一本の線で表されていると同時に、点で描かれた臍に、子供っぽさが表れています。 半パンツとベルトも、子供らしく、よく特徴が出ていると思います。 下肢の線にも、やせ細っている様子がよく出ています。 その少年の目が、「オフクロ」さまと「オニギリ」に向いているのが微笑ましいではありませんか。 反り返るほどに、小山少年の驚いた様子が素直に出ています。 大きな頭と目に、画家・小山をうかがわせます。 口を大きく開き、手を広げた様子や上げた腕に、驚いた姿、気持ちが籠っています。 優しく、ふくよかさが漂う「オフクロ」さまには、「マリア」さまが思い浮かびます。 控えめに描かれている所に、一層、その思いが込められているのでしょう。 一方で、コーリャンと大豆入りのニギリメシが、大きく描かれている所が、マンガチックで面白い。 冷えたらおいしくなさそうですが、今日、健康食品として話題の大豆蛋白や成分が栄養学的には、役立った可能性があるところに、食料不足の状況に在っても、人の知恵が働いたのかと、大きなニギリメシに微笑ましさを感じてしまいます。 現代の日本では、想像し難いが、明日はどうなるか判らない命の危険と食糧難の状況で、小山少年の想いは「オフクロ」さまと、「マリア信仰」に通ずる人への「愛」だと思います。 私にとっては、「煩悩是道場」の修養の場で全ての人々の幸せを願う「自他楽」の心を求める世界に敬服を感ずる貴重な作品だと思います。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/06/16 08:27:38 AM
コメント(0) | コメントを書く
[オタク、萌え] カテゴリの最新記事
|