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鮭と町屋の暮らしブログ―味匠喜っ川便り

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朝の随想8 -市民の心意気-

朝の随想8 「市民の心意気」


<公開審査でまさかの落選>
「町屋の人形さま巡り」が始まる半年前、地元で地域づくりを支援する助成金制度ができたので、「人形さま巡り」を応募しました。
市長はじめ県庁のお役人などそうそうたる審査員が並ぶ中、公開審査が行われました。

「何十軒もの町屋の中で、家に伝わる人形さまを展示し無料で見せる画期的な大イベントを行います。
これを始めたら村上は大きく変わります。
何万人もの人が街を歩き商店は賑わい、町は大いに活性化するでしょう。
きっと市長からは市長賞、県からも表彰状をもらうことになります。」
とその魅力と効果を自信満々に訴え、私は面白おかしく会場を大いに沸かせ説明をしました。

そのあと審査が行われ応募した27団体のうち、2団体のみが落とされました。
なんとそのうちの一つが、商人会の「人形さま巡り」だったのです。


<三つの評価>
評価されず大変ショックを受けたのですが、しかし「人形さま巡り」は、この2年後、予言した通り、村上市から表彰状を受けることになり、また過去9年間の新潟県内の地域活性化に取り組んだ約230団体の中で、最高の賞である地域活性化大賞ベストオブベスト賞を受賞することになったのです。
県知事も臨席した受賞式では、前評判を覆しての受賞に胸が熱くなり涙が溢れてしまいました。

この時、審査委員長が言われた3つの評価が忘れられません。
その一つが、あるものを活かしたこと。
家に眠っていたものを活かしただけでこれだけのことをやったわけです。

2番目が少ない経費でやったこと。
かかった費用はたったの35万円です。
マップとポスター代だけなのです。
これで1億もの経済効果を生んだのですが、知恵と工夫でお金をかけずとも物事できるということを示した取り組みだったのです。

そして3番目が市民の力でやったということ。
普通、まちづくりといえば、行政や会議所がやってくれるのが当たり前と思う人が多い中、それに頼らず全て市民の力でやり抜いたという点が評価されたのです。


<行政に頼らない、市民の力で>
実はこの市民の力でやったということが、このあと驚くべき展開を見せたのです。
「あいつら自分達で、企画して、汗をかいて、お金まで出して、ここまでのことをやった。俺たちだって負けてたまるか。」
と、頑張る市民が次から次へと現れたのです。

それぞれの立場で、できることをどんどんやり始めました。
一人のサラリーマンが江戸時代の行事をひも解いて、灯篭流しを始めたり、ある商店街では提灯神輿を作り新しいお祭りを始めたり、温泉街でもお宝巡りを始めたり、確かに変わり出しました。
それまでは行政や会議所にやらせておけばいいと思っていた市民が、損得ではなく、市民の心意気でやるということに喜びを感じる人が確実に増え、いろんな人が様々なことを始めたのです。

自分達の町は自分達に責任があり、行政任せではなく市民自らが本気に町のことを考えて行動してこそ良い町ができると思うのです。
今村上に、市民が心意気で町を良くして行こうという空気が漂い始めているのは、正に得がたい喜びであり、とても嬉しい事なのです。


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