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鮭と町屋の暮らしブログ―味匠喜っ川便り

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朝の随想10 -日本縦断、徒歩の旅-

朝の随想10 「日本縦断、徒歩の旅」


「まちづくり」は、町のためと思って頑張っても、その割りに世間には充分理解されないばかりか、怒られることも度々で、楽しい事ももちろん多いですが、陰での苦労も大きいものです。

私は勢いで突っ走しり、町の人達から怒られて非常に苦しい思いをしたことがあります。
そんな苦しい時に思い出すのが、私がかつて行った「徒歩による日本縦断」の旅です。
北は北海道の宗谷岬、南は九州の佐多岬までの約3160キロを7回に分けて、56日間で歩いた時のことです。



<1日徒歩60キロの旅>
ボロボロな格好をし、寝袋を持って野宿を繰り返しての旅でした。
大学時代、自分への挑戦という気持ちから東京から札幌まで約1000キロを一挙に歩き、商社マン時代には自分に渇を入れようと東京から博多までの約1400キロを仕事の合間をぬって歩き、村上に戻ってからは歩き残した最南端の佐多岬までと最北端の宗谷岬までの約700キロを歩いたのです。

不審者だと思われ警察の尋問を受けたり、岩国の駅で寝ていたら酔っ払いに焼そばを顔にぶっ掛けられたり、朝から晩まで国道で排気ガスを吸い続け、一日平均50~60キロをひたすら根性で歩き続けた日本縦断の旅でした。


<極限状態で>
29歳の夏、九州を歩いた時の事です。
博多から6日間で鹿児島の佐多岬までたどり着かなければなりません。
起伏の激しい九州の道を急いだため足は筋肉痛でがたがたになり、夏の炎天下で、腕は日焼けで水ぶくれができ痛み出し、今までにない苦しさに襲われました。

体の苦痛とイライラで精神状態はどん底でした。
「前回歩いた時、苦しくて、もう二度と歩かないと決めたはずじゃないか、何で俺はまた歩いているんだ」
と自分自身に呆れ返った時、はっと気付いたのです。
苦しさにもピークがあり、それを乗り越えると体が慣れ少しずつ楽になり、最後には必ず目的地にたどり着いたのでした。
「そうだ今が一番苦しいんだ。明日は楽になる。大丈夫、必ずたどり着ける。」と思った瞬間、苦しかった体も心も驚くほど楽になったのです。


<投げ出さず、乗り越える力>
高い山を登るには大きなエネルギーを使うように、高い目標を達成しようと思うからこそ、大きな試練にぶつかるのです。
でも不思議なもので、苦しい時、先が見えず真っ暗闇の中にいる人と、必ず良くなると信じ心が楽になっている人とでは、全く同じ状況に置かれていても、天と地ほどの違いになるのです。

苦しい事が起こっても、いつまでも続くものではありません。
嵐が来てもまた晴れると信じ、慌てず、晴れ間が出たらまた登り、天気が崩れたら耐え忍び、それを繰り返しながら着実に山を登り続け、最後には頂上にたどり着き、そこに大きな感動があるのです。
日本縦断の旅は、私が極度に苦しくなった時でも物事を投げ出さず乗り越えるための、貴重な経験となっていたのです。


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