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2005/09/22
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カテゴリ:まじめな教育論
私は4~5年前から坊主頭である。1ヶ月に1回自分でバリカンで刈る。長さは1mmぐらいでツルツルに近い。

頭頂部が少々はげてきた時、思い切って坊主にすることに決めた。カツラ代もかからないし楽だ。欧米に行くとスキンヘッドにした紳士が多い。日本人みたいにハゲを隠し通すのではなく、スキンヘッドにして開き直る。欧米人みたいに堂々とハゲにした方が格好いいと私は判断した。

ただ、当然ハゲよりフサフサの方がいいに決まっている。だから一縷の望みを託して毎日リアップを塗ってはいるのだが、今のところ目に見えた効果はない。

美容院とか理髪店とかは好きではない。私は短気だから頭を触られているとイライラしてくる。パーマをかけるなんてとんでもない。あんな超長時間散髪屋の椅子に座っているのは苦痛だ。
また、いい歳をしたオッサンが、女性に混じって美容院へ行くのも考えものだ。不細工なオッサンが、「横の裾を心持ち短めにして」「パーマは少しゆるめに」なんて、自分の髪形に注文つけるのは恥ずかしい。そんな注文は私にはナルシスト的行動にしか映らない。自分でバリカンでサッパリ刈るのが一番潔くていい。

ところで、今若者の間で坊主が流行っている。街へ出ると坊主頭の若者がいっぱいいる。昔は「坊主=部活で強制」だったのだが、いまはオシャレな髪型として認知されている。特にパンクとかヒップホップとか音楽系に坊主は多い。最近の若者の坊主頭は、坊主とか丸刈りとかいう名前よりも、「ボーズ」とか「ボウズ」と言った方が似合う。
私もブカブカの服を着て半ズボンを履けば、年不相応ながら流行の一端を担っている気がして悪い気はしない。私の坊主頭に時代がついてきたのかも。


さて、中学の時も私は坊主にしていた。坊主にした理由はこうだ。

私は田舎の小学校で学び、中学から1人暮らしをしながら開成中学へ通い始めた。
小学校や地方の塾では成績はトップクラスだった。しかし、中学校の最初の定期試験である中1の1学期の中間試験の成績が良くなかった。成績はクラスで51人中25位。トップクラスしか経験のない自分としては非常に情けない成績で、極度に落ち込んでいた。特に英語がさっぱり理解できず途方にくれていた。

そんな時、私の友人が坊主にしてきた。聞けば彼も中間試験の成績が悪く、お父さんから「気合を入れろ」と坊主命令が出たのだという。私も坊主にしたら気合が入り頭が良くなりそうな気がしてきた。

また開成では5月に運動会がある。開成の運動会は青春の匂いがほとばしる熱狂的な運動会で、開成OBの中には、開成高校が「東大合格日本一」と言われるよりも、「開成の運動会は日本一」と褒められる方が嬉しい人もいるが、私もその一人である。とにかく熱い運動会だ。
開成では高3から中1までタテ割りで組を作り対戦する。高3は中1に運動会の指導をしてもらう。運動会の練習には教師は一切入り込まない。厳しい練習を通して、高3と中1の間には信頼関係が生まれる。運動会でお世話になった高3の先輩たちから学んだ、青春ドラマ的クサさがふんだんにある「熱さ」は、私の教師としてのパワーの一部になっている。

そして、今はどうか知らないが、高3は負けたら責任を取って坊主にする先輩が多かった。負けたクラスは2分の1ぐらいが坊主頭になる。私が尊敬していた先輩達も丸坊主になった。
高3の坊主頭には運動会の責任を取る意味と、8ヵ月後に控える大学入試に向けて気分を入れ替えるという意味の2つがある。そんな高3の潔いところが中1の私にはとても格好良く見えた。
そしてお父さんに坊主にしろと命令された友人も、運動会で負けて坊主にした先輩も、坊主頭が凛々しく似合っていた。ちょっと真似してみたいなと思った。

というわけで、思い切って散髪屋に行った。
今でこそ私はヒゲを剃る感覚で頭を刈っているが。当時は坊主にするなんてとんでもないことだった。でもテストの点が悪く、ここで何とか心機一転ギアチェンジしないと、このままズルズル堕ちてしまいそうな予感がした。いっちょ坊主にしたろうじゃねえか。

ところが、散髪屋に行く前は大いに躊躇し、緊張で心臓がバクバクした。おでこの前髪を上げて鏡を覗き込み、自分が坊主になったらどんな顔になるか想像した。
私は小学生の時から少し長めの髪型で、散髪屋さんに30分ぐらいかけて丁寧に切ってもらっていた。私は勉強もできたし、長めの髪型は何だかいいとこのお坊ちゃまみたいで、ちょっとした優越感を感じていた。
しかしそんな丁寧に調髪された髪が、バリカンで呆気なく根こそぎ刈られた。髪が無造作に濡らされて、バリカンが頭頂部から暴力的に入れられ、サラサラの髪は残骸として無残に床に落ちていった。

3mmの白い坊主頭が出来上がった。頭の輪郭がまん丸く間抜けで、恥ずかしくてたまらなかった。友人や先輩の坊主頭は格好いいのに、自分がやってみると毛を刈られた羊みたいな情けない姿にしか見えない。

不思議なことに、もうすっかり前髪なんかキレイに刈られて無くなっているのに、まだ前髪があるような錯覚がして、思わず前髪をかき上げそうになった。前髪があると思って額をさわると、サラサラした前髪はなく、ゾリゾリした感触の短い髪しかなかった。サラサラヘアからザラザラヘアへの変貌に、まだ慣れることができなかった。

散髪屋から出て、道に止めてある車のミラーで自分の顔を見た。かつての長髪の秀才少年ではなく、坊主頭のサルみたいな間抜けなガキがいた。落ちこぼれには坊主頭がお似合いだ。俺みたいな勉強ができない奴は髪なんか伸ばす資格はないと思った。

刈りたて坊主の地肌には、涼しい空気が貼り付く。風が少しでも吹くと頭が寒い。今まで長い髪に守られてきた私が知らなかった感触だ。頭の冷たい感触のせいで、坊主になって気合が入るどころか、ますます落ち込んでしまった。、
開成という、世間で言うところのエリート中学に入った優越感なんか私には全くなかった。こんな凄い奴ばかりがいるところで、どうやって生きてゆくのだろうか。
しかも坊主頭にすると、まるで少年院に入れられたような気分だった。囚人が坊主頭を強制される理由がわかった。坊主頭は明らかに人を滅入らせる髪型だ。





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Last updated  2006/12/07 05:29:47 PM
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