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テーマ:受験シーズン(578)
カテゴリ:まじめな教育論
私は早稲田大学の出身である。OBの私が言うのは気が引けるが、早稲田というのは「ビミョー」な大学だ。
「在野精神」をことさら主張するくせに、実際は体制(古めかしい言葉だけど)に組み込まれている。 また、私学の雄として、慶応と並んで私立の最難関とされているが、実際には東大の後塵を拝しているわけで、東大と早稲田両方合格した人が早稲田に進学することはまずない。 反体制的在野精神を気取ったかと思えば大手企業や公務員に人材を送り込んだり、私学最難関大学として威張る反面で東大の前で小さくなったり、なんとも立場が「ビミョー」にあれこれ変化する。 ところで、私は開成高校から早稲田へ行ったが、 「開成なのに、何で東大じゃなくて早稲田なんですか?」 「キミ、開成の落ちこぼれ?」 なんてズバリ聞いてくる不届き奴がいる。 開成高校は400人卒業生を毎年出すが、そのうち160人ぐらいが東大に合格する。 最近では東大に合格する学力を持ちながら地方の国立医学部を受験するケースが増えているから、200人くらいが東大の学力を持っているといっていい。 残り200人が「開成の落ちこぼれ」ということになる。私もその一人だ。 確かに開成の落ちこぼれと言われて腹が立つが、事実なのだから仕方がない。そう言われても仕方がないくらい、とにかく開成には凄い奴がたくさんいる。 私の高校2年・3年でいっしょのクラスだった同級生に、N君という男がいる。 彼は頭脳明晰で、しかも強引なくらい押しが強く、胆力があり若年ながら恰幅の良さを感じた。リーダーとしてのオーラをぷんぷん周囲に撒き散らしていた。 まるで石橋貴明を知能指数180にしたような男だった。 当然の如く彼は文1に合格し、大蔵省に入省した。 そして昨年37歳で財務省を辞めた。 彼は衆議院選挙に立候補し、小選挙区では僅差で負けたが、比例で復活当選した。 いまや彼は小泉チルドレンの1人である。2世でも3世でもなく、普通の家庭の生まれなのに、37歳にして衆議院議員だ。 彼は高校生時代から、将来大成功を収めそうなオーラを漂わせていた。 こんな凄い男が同じ教室で勉強しているのだから、「おまえは開成の落ちこぼれ」と言われても、腹が立つより先に「おっしゃるとおりです」と納得するほうが早い。 だから、早稲田の人間が、バリバリに頭の切れる東大生の中で這い上がってゆくには、頭の中身では太刀打ちできない。竹刀は真剣には勝てぬ。 どうすれば早稲田は東大に拮抗できるのか? 私のように在野にいて、僻みっぽくあれこれ好き勝手な意見をブログで書きまくるような男が、早稲田大学に対する世間のイメージに近いかもしれない。 大隈重信の建学精神を、私のような男が体現しているのかもしれない。言葉で体制を打つ。 確かにマスコミや広告業界では、私みたいなアクが強い男が幅を利かせている。 でも企業や役所や銀行で働く早稲田OBは、紳士的で人間関係を上手く保つことに秀でた人間が多い。というか、そうでなければ組織の中でやってはゆけない。 組織で成功する早稲田人は、[いい人」が多い。 たとえば、早稲田出身の総理大臣は調整型の政治家が多い。竹下登・海部俊樹・小渕恵三・森喜朗。知性よりも人間関係重視型の政治家だ。 彼ら頭の切れる政治家や官僚を統率するのに、鋭い知性ではなく、謙虚過ぎるくらい謙虚に気を使い、トップの座に就いた。 「ちょっとこいつらバカっぽいな」と言われながら、頂点の座に就いた。「バカっぽい」と周囲に思わせることも、出世の秘訣なのだろうか? とにかく、在野の早稲田人はアクの強さで世間を生き抜き、体制内の早稲田人は慎重さ謙虚さで這い上がる。 早稲田は落ちこぼれかもしれないが、面白い大学だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/03/04 02:15:44 PM
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