2011/09/30(金)04:21
「権利の上に眠る者を法は保護せず」と「法の不知はこれを許さず」
法律というものは、人々に聖人君子のようなことは要求しません。つまり、聖人君子はしないようなことも、世間一般の人には認められています。 例えば、一般の民事債権を持っているAさん。Bさんに10年以上、権利を行使してこなかったのに、失業したので突然Bさんに内容証明郵便で権利を主張して来たとします。 その時、Bさんは次のように主張することが出来ます。「私は、今般、書面にて貴殿より請求されております◎◎の債権につきまして、消滅時効を援用(えんよう)致します。」 時効を援用するとは時効の利益を受けるという事なのです。 たとえ、裁判で勝っても、調停で和解が成立して債務名義を得ても、10年間以上権利行使をしなければ、時効が成立してしまいます。「権利の上に眠る者を法は保護せず」。 従って、Bさんは「時効を援用します」と文書で回答すれば言いのです。 ですから、Aさんは裁判所で決まったことだからと安心していてはダメです。直ちに権利行使すべきです。 Bさん側に立てば、余計なことは言わないで単に「時効を援用します」とだけ言えば良いのです。 「確かに、私は裁判に負けました。従って、債務があることは認めます。しかし、・・・」とここから反論して時効の利益を受けようとするのはNGです。債務の存在を「承認」してしまうと、時効の援用はできなくなります。 そもそも、時効制度というのは、年数が経ってしまって証明するのが困難だから認められているとも考えられています。 債務者のBさんが債務の存在を承認しているのですから、証明は困難ではなくなり、時効を認める意味がなくなってしまいます。 「そ・そ・そんな~」というBさんの声が聞こえてこそうですが。「法の不知はこれを許さず」という、嫌な法格言もあります。 「法」という字は「さんずい」と「去る」という字から出来てます。水気を取り去った冷たいものを「法」と言うのだそうです。 ところで、法律家は「Aさん・Bさん、どっちの味方なの?」とお考えの貴方へ。法律家というのは依頼者様の味方です。 鉄人28号と同じです。リモコンを操縦している方の操作している通り動きます。 「良き法律家は悪しき隣人」という法格言もあるそうです。法律に詳しい奴なんかが隣りに住んでいると、ロクなことはないという意味だそうです。 私はお隣りさんにも「隣人は、良き法律家」と言われる極めて稀な!?法律家を目指してます。 山崎行政法務事務所・代表・行政書士・山崎正幸 (中央大学法学部卒)
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