069305 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

チャッカン サラム チップ

チャッカン サラム チップ

JSA(韓国)

監督:パク チャヌク(朴贊旭)

出演:イ ビョンホン(李 ヘイ憲)

感想:
この映画は、悲しき友情物語です。
公開当時、映画の宣伝ではサスペンス映画と謳っていたが、
決してそうではないと思うし、
韓国の人たちもそうとらえてないと思う。
主演のイ ビョンホンは、あかるく心優しい、そしてちょっとひ弱な
(日本人にくらべればずっとたくましいが)現代韓国の若者の典型を
よく演じている。
韓国らしい心が温かくなるユーモアが効果的に使われていて、
なおさら悲劇を際だたせている。
せりふはストレートだが、その一つ一つが、韓国人にとっては、
考えさせられる、近い将来に考えなければならない「統一」につながっていく。

 「本当に戦争が起こったら、僕らもお互いに銃を向けなければならないのか?」
 「統一の扉って…後で開けてはダメですか?」

何よりも、韓国人の心を引きつけたのは、主人公たちの軍隊生活だと思う。
この軍隊生活に共感し、韓国人が涙したのが目に見えるよう。
ふつう、韓国成人男子は徴兵され、約1年半ほど軍人として生活する。
昔でこそ、軍隊の方がアメリカから配給された食料を口にできるなど、
いいこともあったが、現代っ子にとっては、辛い時期でしかない。
それでも除隊後には、懐かしくも感じる思い出、青春の1ページとなるようだ。
たとえば社会人になっても、所属した部隊の先輩後輩にあたるとか、
軍隊時代に酒たばこをおぼえたとか、軍隊時代の写真を結構大事に
もっていて嬉しそうに見せたりとか、この生活を経験していない者には、
入っていけない世界がある。
韓国女性は軍体験はないが、母なら子を、姉妹なら兄弟を送るのだから、
それもまた共感できるのだろう。

私も韓国在住時代に聞かされたことが、スクリーン上に
再現されてるので驚いた。
たとえば、 オリオンのパイがすごく貴重だったり、
除隊の日を(ほんとに)指折り数えたり、
北朝鮮軍の人は冬でも薄い軍服しか着ていないとか。

それから、たびたびでてくる板門店は決してロケ(本物)ではなく、
セットということだが、もう本物そっくり。
これだけでも十分価値ありです。

戦争映画というと、女性は引きがちだけど、
全体にロマンティックなムードが流れていて、女性でも大丈夫。
雨のシーンがよくあるのも、韓国らしい。
「シュリ」でもそうですが、韓国人は雨がロマンティックだと考えるようです。
日本と全然違いますね。

こんな視点で見ると、きっともっとおもしろくなる!
是非見てください。
私の今年度ナンバー1かも。

「勝手評価(☆5つ満点):
☆☆☆☆☆
JSA



© Rakuten Group, Inc.