6631690 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

みゃあみゃあのトーク&トーク

みゃあみゃあのトーク&トーク

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

jiyma21

jiyma21

カレンダー

お気に入りブログ

今日は金融機関まわ… New! ダニエルandキティさん

ガラホで「白帯ラッ… New! こたつねこ01さん

黄砂がすごい! 冬… New! neko天使さん

^-^◆ あか・あお・… New! 和活喜さん

麻布台ヒルズ3 成… New! ヴェルデ0205さん

コメント新着

フリーページ

ニューストピックス

2014.11.20
XML
カテゴリ:温泉の旅
皆様、こんばんは。いかがお過ごしでしょうか。川治温泉の旅の話の続きを、今夜はしたいと思います。



私が今回、川治温泉で見ておきたかった石碑がひとつあります。そのお話をするために、ちょっと時計の針を1980年(昭和55年)の今日・11月20日に戻してみたいと思います。

その当時、川治温泉に「川治プリンスホテル雅苑」というホテルがありました。西武系列ではなく個人経営のホテルで、川治温泉では中規模クラスのホテルだったといいます。この日、大浴場に隣接されていた露天風呂の解体工事が日中に行われ、トーチランプ(ガスバーナー)を使った作業がされていました。しかしその火花が、木造だった浴場棟の隙間に入ったとみられています。

この日は紅葉狩りのシーズンという事もあって、東京都杉並区の2つの老人クラブの団体予約がありました。1組は滞在、1組は午後3時近くになっての到着でした。

午後3時12分、火災報知機のベルがけたたましく鳴り響きました。と同時に、火災報知表示の大浴場部分のランプが点灯しました。この時従業員は、午前中の工事があったこともあってか、ろくに確認もせずに「これはテストです。ご安心くださいませ。」と安易な館内放送を流してしまいました。この時、おかしいと思ってフロントに出向いた宿泊客は、そのまま避難し、結果的に難を逃れたのです。

しかし、異変に気が付いたのはそれから約11分後でした。老人クラブの団体を乗せてきた東都観光バスのS運転士が、2階の部屋に案内された時、窓から煙と異臭がするのに気が付きました。

「これはおかしいですよ!」とS運転士は、ホテルの従業員に言い、煙の出元である大浴場付近に行った所、既に大浴場付近は煙と炎に包まれていたのでした!

「大変だ、お客様を避難させないと!」S運転士は2階へ、バスガイドのKさんと添乗員のKさんは、3・4階へと火事を知らせに行きました。しかし、それがバスガイドのKさんと添乗員のKさんを見た最後となってしまいました。

炎と新建材から出る有毒ガスはたちまち全館に広がり、宿泊者達は次々と煙の中に倒れていきました。また、このホテル自体が増築に増築を重ねた複雑な造りで廊下が迷路状態になっており、火事により発生した停電と煙で行き場を失ってしまったのです!

更に条件が悪いことに、川治ダムの放水前で十分な水利を得られず、消火活動も思うようにいきません。紅蓮の炎と煙は、川治温泉の空を真っ赤に染めていました。

火災が鎮火したのはその晩遅くの事で、鉄筋簡易防火建築4階建の本館、木造2階建の旧館及び新館を全焼しました。そして宿泊者40名、従業員3名、バスガイド1名、添乗員1名の計45名の尊い命が奪われたのです。この数字は、日本のホテル・旅館火災史上最悪の数字と言われています。

翌年、同ホテルの社長と専務(女将)と工事担当者が、業務上過失致死傷で逮捕されました。社長と工事担当者には、執行猶予付きの禁固判決が、実質的なホテルの経営者だった専務(女将)には、執行猶予なしの実刑(禁固)判決が最高裁で下されました。これは、ホテル・旅館火災において経営者責任を適用した初の判決でもありました。

この火災で、社長夫妻は遺族から石をぶつけられながらも血判状の念書まで書いて、資産を売却して損害賠償に充てるなどしました。裁判の記録によると彼らは総額8億円余りを被害者全員に対して支払い、また毎年死者の供養にも出向いていました。そのような誠意が身を結んでか、控訴審に至った際には、遺族らから「被告人に対しては寛大な処分を希望したい」という旨の上申書が提出されたといいます。

ホテルのあった場所は更地になり、現在ではとある会社の保養所が建っています。その保養所の門のそばにある小さな祠と、崖下の45体のお地蔵様が、そこで悲劇があったことを伝えているかのようでした。

野岩線・川治温泉駅から歩いて数分の「川治霊園」には、観光供養塔とこの「川治プリンスホテル火災慰霊碑」が建っています。







私が見たかったのは、この慰霊碑でした。この火災が起きた時、私は小学校2年生。学校から帰ってきて見たTVのニュースでホテルが真っ赤に燃え上っているのを見たショックが、今でも忘れられません。

そして、ホテルマンという仕事を5年間経験した中で、他人事とは思えない出来事でした。何よりも心打たれたのは、お客様を助けようと炎の中に飛び込んで殉職した、バスガイドのKさんと添乗員のKさんのことでした。他人のために自分の命を犠牲にしてでも動く、なかなかできない事です。

川治温泉を語るうえで、この「川治プリンスホテル火災」を語り継いでいくこと、それが後に残された者の使命ではないでしょうか。二度とこの様な悲劇を起こさないためにも。

慰霊碑の所には、同ホテルの社長が奉納した卒塔婆が立てられていました。

にほんブログ村 旅行ブログへ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020.01.16 18:58:59
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.