2003/11/03(月)19:02
「息子の部屋」 (2001) 伊
監督・・・ナンニ・モレッティ出演・・・ナンニ・モレッティ、ラウラ・モランテ、ジャスミン・トリンカ、他。2001年カンヌ映画祭パルムドール賞受賞 ・物語序盤・ジョバンニは精神科医。精神的に不安定な患者達の話を聞く毎日に少し疲れ気味。しかし妻パオラ、娘イレーネ、息子アンドレアと幸せに暮らしていた。ある日アンドレアの通う学校から呼び出しが。彼が友人と一緒に、学校のアンモナイトの化石を盗んだという話だった。息子は否認していたが、結局停学処分になる。その暫く後、ジョバンニが急患の往診に出掛けている間に、アンドレアはダイビング中の事故で、帰らぬ人となってしまう。突然の悲劇に嘆き悲しむ遺族。実はその日、ジョバンニは息子とジョギングの約束をしていながら、往診に出てしまったのだった。もし約束通りにしていればと、自分を責めるジョバンニ。幸せだった家庭はいつしか重苦しい雰囲気に…。時短モードで観るのが丁度良い静けさです(笑)。催眠効果がありますねぇ。なかなか話が進まないし。またまたカンヌ好みだなぁ。・・・・・その後、最後まで観ました…。淡白と静寂が売りでしょうか?時間の流れ具合など、北野監督が以前賞を取った「HANABI」を連想させました。普段自分が活動している外界と、同じスピードで動く時間とでも言いましょうか。延々と精神科医とその家族の行動が映し出されます。ドキュメンタリーに近い感覚でしょうか。正にミニシアター系の王道です。あまりにも淡々としているので、観ている側の心は殆ど動きません。これに波長を合わせようと思えば、観客側もかなりイマジネイションを働かさなければいけませんね。突然自分の家族が死んだらとか、自分が死んだら家族はどんなに嘆き悲しむだろう等と、各自の頭でシュミレイションしてみるのです。その状態をキープしたまま画面を見続ければ、彼等の痛みや悲しみも伝わってくるでしょう。私は自分が死んだ時の両親の悲しみを想像してみました。冷たくなった私の遺体に取り縋って号泣する親。「お父さん、お母さん、こんなに悲しませてゴメンネ」なんて想像です。まあ、ぶっちゃけた感想としては、眠い、退屈・・・笑。途中で亡き息子宛に、ガールフレンドらしき女の子から手紙が届きます。遺族、特に母親と、少女との温度差は、身内を失った者と無関係な人の感情の違いをよく表していましたね。母親の方は、息子の大切な人だ、もしかしたら花嫁になっていたかもしれない、等と色々と考えて(映画ではそういう台詞はありません)、咽び泣いてしまいますが、一方の彼女はと言えば、ボーイフレンドと旅行中に、ふらりと立ち寄ってみただけ、という登場の仕方です。息子と彼女がどの程度親密だったかには触れていませんが、所詮は赤の他人ということで。ちょっとは悲しいけど、打ちのめされる程の事じゃないというレベルです。家族という小さな組織が、構成メンバーを失って、一時はその大きな穴によって崩壊の危機を迎えるが、時の経過と共に、徐々にその穴を埋めてゆき、新たな組織として再生する迄を描いた作品でした。カンヌ系のアーティスティック?な小品がお好きな方向きです。ハリウッドの娯楽系好みの方は、間違っても観ないように。確実に寝ます。でもずっと前に観た「家路」よりは、ストーリーに起伏がありましたよ。あれの淡々攻撃には、流石の私も白旗挙げましたから(笑)。