2004/10/27(水)23:44
「セックス調査団」 (2001・独/米)
"INVESTIGATING SEX"
監督・・・アラン・ルドルフ
原作・・・アンドレ・ブルトン『性に関する探究』(白水社)
出演・・・ダーモット・マローニー、ネーヴ・キャンベル、 ロビン・タニー、ニック・ノルティ、ジュリー・デルピー、アラン・カミング、ティル・シュヴァイガー、ジェレミー・デイヴィス、他。
・物語序盤・
1929年、大恐慌が起こる前のアメリカ。
エドガーは教授だったが、大学で問題を起こし失職、恋人のクロエにも愛想を尽かされる。
彼はパトロンである富豪ファルドの屋敷に居候し、性に関する研究を続けていた。
エドガーが思い立ったのは、性についての新たな実験。
それは数人の有識者の男性を集めて、セックスについて大らかに論議をさせるというものだった。
その一部始終を記録させる為に、速記の出来る若い女性アリスとゾエを雇うエドガー。
討論会には、作家モンティや画家セヴィらが参加して、性についてそれぞれの意見を述べ合う。
シュールレアリズムの中心的存在だった詩人アンドレ・ブルトンが残した討議録『性に関する探究』を基に作られた作品です。
タイトルから、エロエロな映画と勘違いされそうですが、ごく普通の映画です(笑)
一昔前の芸術家やインテリ達が集まって、セックスについて真面目に討論したというお話。
どちらかと言うと、観念的・哲学的な内容でしょうか。
でも決して重くはなく、むしろユーモラスで軽妙なタッチで描かれていました。
流石に映画館で観る程の価値は無いと思いますが、そこそこ面白かったです。
ただ扱っているテーマのわりに、もう一歩踏み込みが不足しているという印象ですね。
心に焼き付くような鮮烈な台詞が無くて、普通にだらだら喋っているといった感じでした。
ストーリー的にも群像劇という事もあって、全体的に散漫で核心に欠ける内容でした。
ニック・ノルティーがベテランらしい演技力で存在感を発揮していましたね。
ロバとのセックスの話はこちらも笑ってしまいました。
真相はどうなんでしょうか(笑)。
冗談と言われても、キャラクターからして本当の話のようにも受け取れますし。
屋敷の家具や小道具が個性的で印象に残りました。
手の形のドアノブや、人間の形の椅子など。
グロテスクな女性の裸体をモチーフにした収納ボックス(?)は、見た目にも笑えました。
おっぱい引き出しの取っ手は乳首だし…笑。
なんだか変なお屋敷です。
主人公のエドガーは、愛あるセックスこそ至上のものと考えながら、自ら進んで女性を愛せないタイプでした。
大勢の女性と関係を持ちつつも満たされず、目の前に現れた愛の予感には目を伏せる。
そして夢魔とのセックスに惑わされているという、頭でっかちなインテリにありがちな人です。
他の参加者達もそれぞれ個性的な人物なのですが、前述のようにどうも踏み込みが足りずに、どのキャラクターも精彩を欠いてしまいました。
題材になった舞台が一昔前なので、現代的にアレンジし直せば、もっと過激で面白くなったと思うので残念です。