2005/10/28(金)02:39
「エリザベスタウン」(2005) 試写
11/12(土)より全国ロードショーです。
"ELIZABETHTOWN"
監督、脚本・・・キャメロン・クロウ
出演・・・ オーランド・ブルーム,キルステン・ダンスト,スーザン・サランドン,アレック・ボールドウィン,ブルース・マッギル,ジュディ・グリア,ジェシカ・ビール,
・物語序盤・
大手のシューズメーカーの開発部に勤めるドリューは、昨日までは将来を嘱望されたエリート社員だった。
しかし彼が満を持して発表した新作シューズの評判は惨憺たるもので、返品が殺到し、その損失は会社を倒産に追い込む程の巨額な赤字を生む結果に。
社長のフィルに呼び出されたドリューは、その惨状を懇々と聞かされ、雑誌記者の取材に応対してこいと、冷たく突き放された。
同僚だった恋人のエレンも態度は冷ややか。
その晩帰宅したドリューは自殺を決意した。
しかしそんな時、妹からの電話で、突然の父の訃報を知らされる。
ドリューは取り敢えず自殺を保留して、父が亡くなった彼の故郷、ケンタッキー州の田舎町エリザベスタウンに向かう事に。
そこで搭乗した飛行機のフライト・アテンダントのクレアは人懐っこい性格で、ドリューに色々と話し掛けてくる。
もっと泣かせる感動系ムービーだと、勝手に思い込んでおりました。
仕事も恋人も失い、父親まで失ってしまった、どん底の青年が主人公なので。
(あの予告編を観たら、誰だって勘違いするっしょ…。)
でも始まってみると、やたら軽いノリです。
泣いてしまうのでは?と身構えていただけに、この滑り出しには肩透かしを食らいました。
自殺を決意したシーンからして、端から見ていると滑稽でしたしね。
父親の亡骸と対面しても、悲しみの表情を見せるでもなし。
その後は、そういう雰囲気の映画なのかと思って観続けましたが。
とにかく扱っている題材のわりに、全編ライトな感じで纏めてありました。
所々に微かに笑えるシーンを交えつつ、基本的に抑揚の無いストーリーが進行します。
山場も特も無く、登場人物に感情移入もできません。
本音を言えば、少し退屈してしまいました。
よく考えてみると、監督のキャメロン・クロウは、「あの頃ペニーレインと」の監督なのですよね。
あの映画も私個人は、ピンと来なかったのですが、この作品も雰囲気は似ていました。
分かり易い映画なら、ここで笑って、ここで泣いてと、観客を親切に導く道標が存在していて、受け手はそれに従って、感情を動かしてゆけば良いのですが、彼の作品は、ある意味、とても不親切です。
観客に与えるのは、断片的・抽象的な台詞やシーンだけで、肉付けは観客の空想の中でやってほしいというタイプ。
しかし難解という意味では決してないです。
それぞれのパーツは、むしろ理解し易い平易なものばかり。
ただそれらを繋ぎ合わせて、感動や深い感銘に結び付けるのは、観客の役割だよと言われている感じなのですよね。
表面的な軽さだけを観て、薄っぺらく笑って「面白かったね」で済ませるか、創造者の意図を理解して共鳴まで到達できるか、その辺はお客のおつむ次第です、という姿勢すら感じました。
はっきり言って、個人的には好みに合わない作品でしたねぇ。
監督が元々音楽畑の方で、夫人も歌手という事なので、楽曲の選択には神経を使っています。
ストーリー的に盛り上がらないのも手伝って、恰も2時間強のミュージック・クリップを観ている気分になりました。
俳優陣については、主役ドリューは言わずと知れたオーランド・ブルーム。
等身大の青年役は彼には珍しい役どころですが、無難に演じていたと思います。
そして、一風変わった性格のフライト・アテンダント役に、キルスティン・ダンスト。
ドリューの前に現れて、恋人が居るやら居ないやら、謎めいた魅力を振りまく女性です。
(若干、ストーカー入ってますが…笑)
中盤は完全にこの二人の付かず離れずの恋愛模様が中心になっています。
この辺の脚本もまどろっこしくて、だるい印象を残す要因に。
しかし会うまで延々と携帯電話で話し続ける、そこのお二人さん。
つーか、掛けた方、電話代幾らになるか気にしないんですか?
筋書きとしては、大きな挫折を味わった青年が、田舎の人々との触れ合いや、不思議な魅力を持った女性との関わりの中で、少しずつ心を癒してゆき、再び再起してゆくというものでしたが、監督に言いたいとすれば、もっと主張したい事ははっきりと前面に押し出してくれないと、観ている側は付いてゆけないよ、という事ですかね。
アップダウンが殆ど無くて、どちらかと言えば、ミニシアター系に近い雰囲気の映画かもしれません。
「あの頃ペニー・レインと」が好きな方なら相性がいいと思います。
私はやっぱりこの監督さん、苦手だわ…。
「バニラ・スカイ」も「は?」って感じでしたし。ゴメンね。(^_^;)
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