MY HIDEOUT ~私の隠れ家~

2006/02/24(金)01:13

「力道山」 (2005・韓/日) 試写

3/4(土)より全国ロードショーです。 "RIKIDOZAN" 監督、脚本・・・ソン・ヘソン 出演・・・ソル・ギョング、中谷美紀、藤竜也、萩原聖人、鈴木砂羽、山本太郎、船木誠勝、秋山準、橋本真也、武藤敬司、リック・スタイナー、梶原しげる、他。 ・物語序盤・ 1944年、第二次世界大戦下の日本。 周囲からきんと呼ばれる朝鮮人の若者が、横綱になる事を夢見て、相撲部屋の稽古に励んでいた。 しかし同じ部屋の先輩達から、毎日のように朝鮮人として虐待を受ける過酷な日々であった。 ある日、空襲警報で防空壕に非難した彼は、芸子の綾と出会う。 彼女は相撲部屋の後援者である菅野会長に世話になっている芸子だった。 力士として成功したい若者は、一計を講じて、菅野会長の関心を引く。 菅野会長に気に入られた若者は"力道山"という四股名を貰い、関取となった。 その際に欲しいものはと聞かれた力道山は、綾が欲しいと頼み、二人は夫婦になる。 その後、力道山は頭角を現し関脇になるが、人種差別の問題で大関への昇進が叶わなかった。 激怒した力道山は、自ら髷を切り落としてしまう。 本作の為に28kg体重を増やして臨んだ主演のソル・ギョングが、日本語の台詞に果敢に挑戦しています。 朝鮮人の仲間と語る時は韓国語ですが、それ以外は殆どが日本語。 若干、聞き取り辛い部分はありましたが、よく頑張ったなと思います。 感情を込めて話さなければならないシーンは、日本語が追い付かない分、俳優としての表現力でカバーという感じでしたね。 プロレスのシーンも体当たりで演じていたので、とても迫力がありました。 力道山が他界したのは、1963年12月。 リアルタイムで彼の活躍を観たことの無い私には、力道山と言えば、昔のテレビ放送で見るくらいの遠い存在でしかありませんでした。 彼の生い立ちや人生についても、全く知らなかったので、新鮮な気持ちで鑑賞できました。 元々関取だった事も知らなかったので、とても驚きました。 今と違って、朝鮮が日本の支配下にある時代です。 そんな時に、日本に渡って、成功しようと志した彼の決意は、とても強かったのでしょうね。 時にはその熱意が気性の荒さに転じて、粗暴な振る舞いを引き起こします。 外国人という事で、非道な差別も受け、苦汁を舐めてきた半生だったからこそ、反抗心も並大抵のものではありません。 関取として挫折してから、プロレスに出会い、渡米してプロレスラーになったのですね。 観ていて、本当に苦労人だなぁ、短い人生を常に燃え尽きるように生きた人だったのだなぁ、と思いました。 テレビの中で成功した彼しか知らない私は、そこへの道程が並々ならぬ苦労の上に成り立っている事を初めて知って、心を動かされました。 プロレスラーとして、日本に凱旋帰国しても、プロレスを知らない日本では、簡単に受け入れられない。 こういう世界では、大きな金が動くので、後ろ盾になってくれる人物が不可欠で、彼の尽力も大きいのですが、本人も苦労が絶えなかったと思います。 成功してからも、彼の闘志は常に燃え滾っていて、その事で周囲とぎくしゃくしてゆく過程が寂しかったですね。 最大の後見人だった菅野から、お前は敵を作りすぎたと言われてしまう力道山。 唯一心を許せる筈の妻・綾に対しても、懐疑心を持ち、自らを孤独な方向へと押しやってしまう不器用な性格。 何処かで折れたり、無難に折り合いをつけられる気質だったら、彼ももっと幸せな人生を送れたのに。 最期は暴漢に刺され、腹膜炎で呆気なく、この世を去ったヒーロー。 人生、思い切り笑って生きたいと願っていた力道山。 しかし成功すればするほど、彼から笑顔が消えてゆくようで、とても切なかったです。 ↑ランキング参加中。ぷちっとクリックして下さると嬉しいです。

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