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日本を代表する歌舞伎専門の劇場「歌舞伎座」が年4月の公演を最後に、全面的に建て替えられる。老朽化に伴うもので、新劇場は2013年中にもビルと劇場の複合施設として誕生する。戦後、60年近く歩んできた名建築が姿を消すことで、保存を求める声も上がっている。
ずいぶん前から「さよなら歌舞伎」と銘打って興行を続けてきたが、この四月に、いよいよほんものの「さよなら歌舞伎」が上演されることになった。その興行の「とり」をとるのが、歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)である。 花川戸助六 團十郎 三浦屋揚巻 玉三郎 通人里暁 勘三郎 福山かつぎ寿吉 三津五郎 三浦屋白玉 福 助 朝顔仙平 段四郎 曽我満江 東 蔵 髭の意休 左團次 くわんぺら門兵衛 仁左衛門 白酒売新兵衛 菊五郎 口 上 海老蔵 これ以上の配役はあるまいと思うほどの豪華キャストである。 團菊の「曽我兄弟」は、贅沢なことである。通人の勘三郎も贅沢な配役だ。福山かつぎの三津五郎も大付き合いだ。朝顔仙平の段四郎、門兵衛を仁左衛門も贅沢なお付き合いだ。芝翫、雀右衛門のお二人は、もう老齢化してしまったから、 揚幕の玉三郎も現状では一番の選択かも知れない。白玉の福助もまずまずの配役だ。菊之助ということも考えられるが‥。意休の左團次は、もういまやはまり役となっている。 そして、あの方は、どうしたのかと心配していたら、なんと「口上」を勤めるというではないか。「さよなら歌舞伎座」の最後を飾るのは、お祖父さん似の海老さまが「口上」ということだ。これ以上の贅沢はない。 助六の口上は歌舞伎狂言でも貴重なものである。下手から、口上役の海老さまが、鉞銀杏(まさかりいちょう)の髷(まげ)に、市川家の家の紋(三升)をつけた柿裃(かきのかみしも)といういでたちで出てきて、助六劇の由来を述べ、来年ならば「その助六を当世團十郎が相勤めまする。なにぶん古風な狂言でござりますので、ゆるゆるとご見物のほどを‥」と口上を述べた後、舞台正面の格子内に居並ぶ河東節(かとうぶし)連中に向かって「河東節ご連中様、どうぞお始めくださりましょう」と挨拶をして引っ込む。始まる前からドキドキさせる憎い演出である。十八番の助六ならではである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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