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■アーカイブス04・3・16■
今日はTさんの一周忌だ。 昨年彼女は山スキーの事故で亡くなってしまった。 天候もよく何百回と通った山で慎重な彼女がどうして・・・とにわかには信じられない事故だった。 今日、山の仲間たちが追悼登山をしている。 彼女はとてもパワフルな人だった。人と人を出会わせる天才でもあった。自然、山を愛する人だった。 ここ数年は雪崩の啓蒙に力を注いでいて山屋、大学の先生、行政、専門家たちを引き込み彼らの力を最大限引き出していた。 山に入る人たちが雪崩遭難にあわないように雪崩の起こるメカニズムを知ってもらったり、万が一巻き込まれた時自分たちで救助する仕方などを学んでもらう場を各地で行っていた。 また行政への働きかけも積極的に行っていた。雪崩のメカニズムを知ることは雪崩遭難だけのことではなく、無駄な雪崩防護柵を建設する必要がない。雪崩が起きる条件は決まっているのだから通行止めをするなどして、事前に人工雪崩を起こしてしまえば年に一度あるか無いかのことに何億円もの投資は必要ないし、自然を傷つける事も無い。これが彼女の持論だった。 昨年3月、雪崩啓蒙のイベントを大成功させ、マスコミにも大きく取り上げられた矢先の事故だった。 彼女とは知り合いを通じて出会い、お互い忙しくしているので数回話したきりだったが彼女の表情と声は強烈に印象に残っている。 「本物を伝えたい」「若い人の活躍する場を作ることが私の仕事」という言葉が特に印象に残っている。 彼女と雪崩啓蒙活動をしていた若者たちはその遺志を継ぎ自分たちなりの展開をし始めている。 先日あった登山家のYさんは大学教育学部の授業を受け持ち、そこでビーコンという雪崩で埋まった時に探索する道具を使って学生たちに実地訓練をさせた。雪に埋まる感覚を知ってもらおうと、全身を雪の中へ埋めることもしたそうだ。雪の中でどれだけ呼吸ができるのか、どんな気持ちになるのかなど学生たちにはリアルな体験だったことだろう。 また山スキーガイドのFさんは自分がガイドする山域の定点観測を始めている。 彼女の蒔いた種は着実に育っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 19, 2005 09:52:09 AM
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