冥都七事件 物集高音
もずめたかね・・・覆面作家と聞いていたのでいったいどんな人なんだろう と思ったら同世代だった(年下だけど)どんなおどろおどろしい作品なんだろうと 思っていたらぜんぜんそんなことなくその独特の文体で明治から昭和初期の世界に連れて行ってくれます明治に起きた不思議な出来事を昭和初期の早稲田の学生が下宿やの家主と謎解きをするというお話七つの事件が一話完結の短編となっているのですが最後に あらそうだったのね があります主人公の早稲田の芋っ書生の名は「阿閉万」あとじよろず下宿は「玄虚館」で家主は「玄虚館主人」 あれれ なんか聞いたような 違うような名・・・「後記」に「本書、現実に起こった事件とは無縁の、純然たる創作である。」と述べられているので フィクションなんでしょうが「参考文献」がずら~っとあるので当時の風俗や暮らし 人々の感じかたが体感できます事件は 血を吐く松 石の降る家 夜泣きする石迷路での人間消失 幽霊電車・・・ 不思議なあり得ないっていうことばかりなのですがそれが 気持よく解決されていきますもう少し「玄虚館主人」さんのイデオロギーがあるのかな と思ったけれどそのあたりはあまり触れられてないです東京の土地も創作かもしれませんが「花ノ堤ノ迷途ニテ」では文学散歩で行ったことのある「三囲神社」が舞台ですここは隅田川沿いの古い神社で 関東大震災や東京大空襲からも奇跡的に火の手をまぬがれた 趣きのある神社ですまた「天ニ凶、寿グベシ」では日比谷公園で「大東京35区の市制祝賀記念」が行われているときに 天に「凶」という字が描かれた という事件ですなんとも そのお祭りの賑わいが伝わってきてイイ感じですワタシの祖母や祖父の生きた時代はこんなだったのかなぁ~ってそんな遠い昔のことではないんですよねこの本を知ったのは もちろん文学散歩の先生に紹介して頂いたからです(*^_^*)