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2007年09月13日
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少し前に、ミクシィの中で友達が、福永武彦の「忘却の河」が再発行になったと叫んでいました。
おまけにね、その解説を息子で作家である池澤夏樹が書いているのです。
この状態はどんな感じ?っていうとねぇ、、
ええとね、コルトレーンの1961年くらいの幻のライブ盤、廃盤だった幻の名作をラヴィがボーナストラックつけて、CD化する、、みたいな。。(え?違うか??)
兎に角、二人の作家どちらのファンでもあるのですが、小さな時に両親が離婚した夏樹は、運命に導かれるように作家になってからも、彼の父が追い続けた命題、「死」をストレートに捉えた作品を避けてきた気がします。
え?「死にたい」、、文学でなくて、、死にたい人間の精神をとおして、生きる事を考える、って感じ?

夏樹自身の作品には、超自然的現象として、死後?の世界はでてきますが、作品のメインテーマになることはほとんどなかったきがします。
むしろ、福永的な死と人間との関係(死と言うものに取り憑かれた人間)にとらわれてるのは、いわゆる官能的な場面も多くサービスシーンたっぷりな白石一文だとおもったこともありました。
彼の作品の中には、内面的な葛藤をちょっと福永風にとらえたものもあって、私の中では、結構福永度高い作家なのです。夏樹さまの次に生きてる作家で好き。

福永の作品は重く、暗く、人の原罪をを問うようなものが多い。
その表現力は巧みで、心情描写が非常に上手。
表現できないような心の機微を誰もが見たことあるような一場面から持ってきます。
巧みに人の内面に入り込み、躊躇無く暴き出す。
人は、生きて死ぬ間に、罪を犯していく。汚れ無き、透き通った魂はしだいに、濁り、汚れる。しかし、それが生きているという、確たる証拠でもあるのです。
汚れた魂を清め、救いのある平穏な日々を迎えるには、、果たして何が必要なのか。。
そんな、答えが見つけられない永遠の問いかけに、真摯にこたえようしているのが福永の世界だと思う。
読むものは、私のような脳天気な者でも、主人公の心の苦悩が、自分も潜在的に持ってる罪にと重なる事に気づく。
平凡で煩悩の世界に生きてる私は、それを解決しようとも、、出来るとも、、思っていないのだけれど、、でも、生きると言うことの重さも時々は考えたって、良いのでは?って、、感じで時々彼の作品を読み返す。。

野心家でもある福永は、自分の作品で、いろいろ実験てきなこともしていている。
今回、再発行された「忘却の河」も一人の男性の原罪をめぐって、彼の周りの人間を中心にした短編で構成されている。
彼は、この長編を書くにあって、七つの短編を周到に用意し、最初の一編と最後の一編は同じ雑誌ですが、他は違う雑誌に発表していきました。
このとき彼自身が
「各章主人公を異にし従って視点も異にするが、全編を通じて主題は時間とともに徐々に進展するとうふうにかきたかった」
と、後記に記してます。

小説の内容を説明するのは、ホント、野暮であーーる。(ん?アルバムはいいのか?自問自答)
だから、買って読んでぇ。
我が愛する夏樹さまの解説エッセイは、人生がまだ終焉ではない彼の現時点の回答として、満点あげたい気分です。(偉そうだけど、許せぇ)
少しだけ、距離があるその視線が、逆にほとんど一緒に暮らせなかった父への愛情を強く感じてちょっと、目が潤んでしまいました。。

幼い頃、二ヶ月ぶりに逢える母をバス停に迎えに行きました。
たぶん、1時間以上待った。しかも、反対側の停留所で。
バスから降りた母の元に駆け寄れぬまま、、呼び寄せられても近くに行けぬまま、、
家までの15分位、小川を挟んだ反対側の土手の上をずっとつかず離れずで歩いた記憶がよみがえりました。。
一緒に歩いてるだけで、嬉しかったわ。。
不思議なもので、幼い私にも母と距離はあっても、、心と心の間に何か、、流れてるような気がしたのです。それだけで、なんか、幸せな感じ。。。
父と同じ職業についた彼の心の中には、やはり、時空をこえて父の心と繋がる何かを感じたてるのだろうなぁ、、と、、静かに思います。




で、ちょっと、野暮になるわん。これが昔の表紙。私は、このちょっと意味不明、、でも、内容にドンぴしゃな、白黒の表紙が好き。。
ええとね、この本の中に好きな章がいくつかある。。のですね。

その中でも、好きな章が、
「夢の通い路」
これは、主人公の寝たきりで、傍目からは感情も無くなってしまったように見える妻の章。一日、動くこともなく、、布団の中で、過ごす。。
まさに生きる屍。。
しかし、彼女の内面は、なんというか、、生き生きとしているのです。
若き日のある想い出の中で生きてる。
生と死の間でみる世界は、彼女の内面に毎日繰り広げられる世界は、熱く血の通った世界なのです。
目を閉じて、毎日、毎日、、夢の通い路を通るのです。

と、、
私が、この章が好きなのはね、人は誰も肉体の束縛、物理的な束縛、というのは必ずあって、特に長く生きているといろいろな柵でてきて、、自分が思うように自由に動けないことが多いのだけれど、、その内側はね、誰もが何物にも束縛されることなく、、自由なのねぇ。。ってことなの。
誰もが自分の好きな世界を持つことができ、それを誰も邪魔することができない、ってことなの。(厳密には、、まぁ、いろいろ、、あるけどね)

で、本当の解釈は違うかもしれないけど、これは、日々の暮らしでぐったり疲れた心にはなんだか、、、小さな灯りなのです。(別に今の生活に不満なのでないのよ♪)

でね、この作品、福永の作品の中では、読後感がかなり良いほうなのです。
この作品が作られた40年前にくらべて、いろんな意味で世の中かわりました。
道徳観、世界観、、日本人そのものが、、ホントに、変わった。
でも、生きて、、死ぬ、その間が人生である、って、基本的な事は何も変わってないはず。
たまには、いろんな角度で人生の原点を見つめてみるのは、、いかがでしょ?

そう、この中に「賽の河原」という章があります。
冬の日本海の荒涼とした風景が原点となっているようなのですが。。
晩秋より、、冬の日本海は人を寄せ付けぬ厳しく寂しい風景。
人が踏み込めないからこそ、なにやら魂が惹きつけられるものがあります。
是非、一度「お独り」でご体験くださいませ。




今日、こんなアルバム聴いていましたぁ。

Bitches Brew/Miles Davis
始めてこのアルバムをきいたとき、一見、混沌としてるんだけど、一人一人が個性を失わずに主張してるのに、がっちり統制されてていて全体で一つに向かってる姿が、、
まるで、人間の脳の中みたいぃ、って思ったのです。
もの凄いメンバーが、自己主張をしたら、本当は統制がつかなくなるはずなのに。
なんだ、これは?ってかんじだったけど、自分の脳の中って、まさにこれだぁ、って感じでした。
え?変な感想??いいの。。馬鹿なんだから。
でも、今日は、、まだ、デュオきいてないな。。


そう。。私が次に復刻して貰いたいのは、「死の島」って本。
福永武彦の文学作品が「実験的」と感じるのは、まあL、本人がチャレンジしている、ってこもあるのですが、、「時間軸」つうか、、通常、時系列にしたがって、分かりやすく物事を書き連ねるのが普通なんですが、これに関してかなり既成概念をとっぱらおうとしてる感じがあるからかな、、っておもうのです。
そう、この方、SF小説も書いてます。(ええと、モスラの原作も書いてます)
そう言うのも、影響あるのかな?ともおもってます。
でね、次に私が発行していただいきたいと思ってる「死の島」ってあるんですが、これを読んだときに、、まさに「脳の中」みたいぃぃ。。って、思ったのです。(ん?意味不明かしら)

人はね、机の上の薔薇の花をみて、、
「赤い薔薇って綺麗ね」
って、言ったととするでしょ?
でもね、同時にいろんな事を考えたり、進行したりしてるでしょ?
「赤い薔薇って綺麗ね」っていいながらも、
料理つくってたり、、とか。。
今日は天気が良いと、、とか、、
昨日は、楽しかったな、、とか、、
赤ではないかも?、、とか。。
あ、電話さわ。。とか。。

もう、ごちゃごちゃとしてるだけど、
だからといって、、誰もこんがらがったり、、しないでしょ?
ちゃんと、日常を進行させていくでしょ?
なんか、そんな不思議さがつまった小説で、えらく、はまったのでした。
是非、「大きな字」で、「夏樹さまの解説付き」で、、、再発行してくださいませ。

小さなお願いでしたぁ。

さて、そろそろ、、課題に手を付けねば・・・。。。





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最終更新日  2007年09月13日 11時13分37秒
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