大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇
私の情報に対する考え方、さらには人生観をも変えた本。 著者、堀栄三は日本陸軍で情報分析をしていた人で、20世紀で最高、それどころかもしかしたら歴史上最高の情報分析家です。 彼の情報分析の物凄さの例として、太平洋戦争時にマッカーサーがルソン島にいつ・どこに・どのぐらいの兵力で 攻撃してくるか、というのがとても大事だったのですが、場所や兵力はもちろんのこと、1日の狂いもなく攻撃日を的中させたという神様のような情報分析を発揮しています。 スパイを使ったのならともかく、純粋に情報を分析するだけでここまで的中させたというのは中世以降の歴史で私は知りません。(私が寡聞なだけとは思いますが) それ以外にも、日本陸軍とアメリカ陸軍の強さを比べる際に、鉄量という概念に置き換えて同じ時間で発射できる弾薬・砲弾の量で比較するという、言われて見ればだれもが納得するけど考えつかないような方法も発明してます。 本書では具体的な情報分析のアプローチは概略レベルにとどまってしまってますが、本書では触れていない株価の値動きすら敵の動きを予想するために使った、というエピソードからも徹底した情報収集と集めた情報から何をくみ取るか、ということの大切さを痛感させられます。大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)