国民の教養】「Trans Pacific Negotiation」三橋貴明氏ブログ
ワンクリック情報拡散ご協力お願いします》ソース:「三橋貴明ブログ」URL:http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/page-1.html#main 三橋貴明氏の著書とブログは私の教養として拝見させて頂いておりますが、マスゴミの歪曲や捏造報道に目覚めるには、とても参考になるものです。---------------------------------------------2012-05-18 07:52:54 「Trans Pacific Negotiation」さて、単行本と言えば、明日から「続々と」三橋の本が出版されます。続々と単行本を出版するような人は、日本中でわたくしだけのような気がいたしますが、昨日のエントリーで少し触れたように、現在の日本は「言論戦争」のような状況になっているわけです。この戦争(というか、内戦ですかね)の結果次第で、我が国が東北復興を成し遂げ、国土の強靭化を果たし、将来世代にデフレから脱却し、豊かな国民経済を残せるか否かが決まります。「三橋は本を出し過ぎ!」 とよく言われますが、何しろ「戦争」でございますので、わたくしは全てのリソース、チャネルを総動員し、「言論」で戦っていきたいと考えているわけでございます。 現在の日本国内で繰り広げられている「言論戦」は、わたくしの立場からすると「敵」が二つあります。一つは、言うまでもなく「土建国家」などというフレーズで公共事業や財政出動を否定する朝日新聞に代表される「経済的自虐史観主義者」たちで、もう一つが経済産業省、財務省、経団連に代表される新自由主義かぶれ、あるいは「グローバリズム大好き」な方々です。ドイツやユーロを見ていれば分かると思いますが、実は財務省の「財政均衡主義」も、新自由主義「かぶれ」にカテゴライズできたりします(インフレ対策、という意味で)。 しかも、先日の経団連のレポートからも分かりますが、新自由主義かぶれの人たちは、自分たちの思い込みに基づく結論(ドミナントストーリー)を実現するために、時に経済的自虐史観を用いてくるので、話が厄介です。「日本は成長しない」という根拠不明な結論に関しては、朝日新聞などと新自由主義かぶれの人たちは共同戦線を張れるのです。(一応、書いておきますが、新自由主義的な人たちの中でも、財務省の緊縮財政路線を否定する人たちが少なくありません。この辺の理由は、今月中に発売になる「ジャパン・コンセンサス」で詳しく書きました。) さて、TPPに関して、推進派は「日本は内需で成長できない。だから、TPP。だから、グローバル!」と、これまた経済的自虐史観に基づいた結論を国民に押し付けようとしてきます。 とはいえ、TPPのようなラディカルな自由貿易協定は、別に日本でなくてもそう簡単に結論付けることはできません。「TPPは中国包囲網! だから参加!」「日本の農業は世界に羽ばたける! だから参加!」 などと、お子様理論で結論付けてはならない政策なのです。『TPP年内妥結、事実上断念 期限設けずと米高官http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/302664 環太平洋連携協定(TPP)拡大交渉を進めている米国、オーストラリアなど9カ国は、目標としていた年内の交渉妥結を事実上断念する見通しとなった。米通商代表部(USTR)のワイゼル首席交渉官が妥結時期について16日、今後の交渉の方針を決める6月のTPP閣僚会合では「明確な期限を設けない」と言明した。交渉の難航が背景にある。 交渉参加を検討している日本に対し、協定づくりへの関与の必要性を理由に早急な決定を求める声が出ているが、今回の目標断念により、日本が関与できる余地はなお残された形となった。』 「コレキヨの恋文 」でTPPについて、Trans Pacific Negotiation(環太平洋交渉)と揶揄していますが、まさにそのままの状況になってきました。年内断念ということは、アメリカ大統領選挙以降にどうなるか、現時点では「分からない」という話になりますね。 オバマ大統領はNAFTAについて、「投資家を利するだけで、アメリカ国民の利益にならない」 と前回の選挙戦で語っていましたが、今回はどうなるのでしょうか。 以下、TPPに関する記事をまとめました(情報提供TN(東田剛)様)。『自動車問題指摘は好ましい=TPP協議進展に期待-米下院小委員長http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012051600061 米下院歳入委員会貿易小委員会のブレイディ委員長(共和)は15日、当地で開かれた昼食会後、記者団に対し、環太平洋連携協定(TPP)交渉への日本の参加について「米通商代表部(USTR)が自動車問題を指摘したのは好ましい」と述べ、両国間の事前協議の進展に期待を示した。協議妥結が見込まれる時期については明言を避けた。 ブレイディ委員長は、この日発効した米国とコロンビア間の自由貿易協定(FTA)交渉を引き合いに、問題点が具体的に指摘されていなかったため長年にわたり難航したと指摘。その上で、TPP事前協議では「(日本の自動車問題など)米国側の特定の懸念が明確にされており、進展に役立つ」と述べた。』 いつの間にか、「自動車」が日本のTPP参加への重要焦点になっております。無論、アメリカの自動車産業や労働者たちが、日本のTPP参加に懸念の意を示したためです。「TPPは自由貿易だから、やるんです!」 などと言ったところで、「相手」というものがあります。相手も「自由貿易だから、やる」などと甘いことを考えてくれるのでしょうか。そんなはずがないわけです。『TPPでなぜ「共済」が問題になるのか? 米国の保険ビジネスの狙いhttp://www.jacom.or.jp/news/2012/05/news120516-16901.php 4月30日の日米首脳会談で野田首相とオバマ大統領はTPPについて日米協議を前進させることで一致。その際、オバマ大統領は「自動車」、「保険」、「牛肉」の3つに関心を示したという。このうち「保険」については郵政民営化見直し法案で政府が簡保など郵政事業に関与を残すことに懸念を表明したものと国内では解説されている。しかし、大統領の言葉は「保険」である。すなわち、簡保だけでなく、医療保険も共済も制度改革などの要求をぶつけてくると考えたほうがいい。ここでは拓殖大学日本文化研究所の関岡英之客員教授が超党派議連「TPPを慎重に考える会」の勉強会などで指摘した内容から米国の保険ビジネスの狙いを整理してみたい。◆金融ビジネスの思惑 構造改革を叫んだ小泉内閣が進めた郵政民営化。それは米国の対日要求に応えるものであった。具体的には米国の民間保険会社の市場開放要求である。 05年時点で郵貯と簡保を合わせ残高は350兆円でこのうち簡保は120兆円だったが、米国が一貫して日本にさまざまに要求したのは貯金より額の少ない簡保、つまり保険分野だった。 金融ビジネスにとって預金は預金者が自由に金融機関を選び出し入れすることができるため安定性に欠ける資金だが、保険は一度契約をとれば長期にわたってコンスタントに保険料が入ってくる。一方、死亡保険などで支払いが求められるのは20年、30年先であろう。関岡氏によれば、それが米国金融ビジネスが郵貯よりも簡保にこだわった理由だという。(後略)』 関岡先生が頑張っていらっしゃいます。 とにかく知れば知るほど、アメリカの「民間医療保険」という業態が、とんでもなく「問題がある業態」であることが分かってきます。何というか、新自由主義的なロジックが最も歪んだ形に結実した業態こそが、アメリカの民間医療保険のように思えるわけです。 ところで、アメリカ合衆国憲法上、通商交渉の権限は議会にあり、大統領府(行政)にありません。議会がこの権限を大統領府に委任することをTPAと言い、これが実は2007年7月以降は失効していたりします。すなわち、現在のUSTRは、正式な権限を持っていないのです。(参考)TPAに関する外務省資料http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/eco_tusho/tpa.html 『Trans-Pacific Partnership talks at critical pointhttp://westernfarmpress.com/government/trans-pacific-partnership-talks-critical-point 「オバマ政権はTPA(大統領貿易促進権限)を6月1日に議会へ申請し、90日後の9月承認まで交渉を中断する可能性があると。」The Obama Administration is honoring a provision of the now expired Trade Promotion Authority requiring a 90-day notice to Congress before beginning negotiations on a FTA. If the Administration gave approval on June 1, a country could not join the talks until September.』 TPPのTrans Pacific Negotiation化は、上記の問題も絡んでいるのかも知れません。 いずれにせよ、TPPや増税、あるいは公共事業について、今後も「ワンフレーズ(例:土建国家)」で推進もしくは反対しようとする連中が後を絶たないでしょう。彼らに対抗するには、国民自身が各種の政治的イッシューに関する知識を持ち、「民主主義」を動かしていくしかないわけです。