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本の日記もくもくれん

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2021年12月28日
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カテゴリ:本 ミステリー
鮎川ミステリーを始めて読んだのは、まだ十代の頃で。
何を読んだのか忘れたが、そのころはオドロオドロしいのが好きだったので、探偵ではなく刑事たちが活躍する現実的な世界観はしっくりこなかった。

本格ものの名作というと必ず登場する神様的存在。
自分にとって鮎川ミステリーは大人になってから読む本だった。


下り“はつかり” (創元推理文庫) [ 鮎川哲也 ]


名作と名高いものが入っていたので、選んだ短編集。
最初の「地虫」で、えっ何これ、どういうこと?と不安になったが、次からしっかり本格だったのでホっとした。(まあそれはほんとに人の好みなんですが)

・解剖室で発見されたバラバラ死体の密室の謎を解く「赤い密室」
・目撃されたイニシャルから浮かび上がった容疑者。鉄壁のアリバイ崩し「碑文谷事件」

・圧倒的に「やられたあ~」の声が多い名作。気持ち良くだまされる「達也が嗤う」
・現代にありそうなファンタジーの世界でのミステリー「絵のない絵本」

・首なし死体の人物の謎を追う「誰の死体か」
・怪しげな依頼ばかり引き受ける探偵の元に持ち込まれた訳ありな依頼。ハードボイルド色満点の「他殺にしてくれ」

・自殺するはずのないやる気満々の若き支店長の自殺。他殺であることを証明するために看破するべきトリック「金魚の寝言」
・自然の摂理を利用した犯人による地元民でないと溶けないアリバイ崩し「暗い河」

・写真に写り込んだ列車が作った完璧なアリバイ「下り“はつかり”」
・ほのぼのした話なのだろうかと思いきや…「死が二人を別つまで」


[鉄道模型]トラムウェイ (HO) TW-HO-HM035 C59・60用列車名板「はつかり」平面

始め「地虫」にのけぞったが、全部読んでみると、鮎川哲也という偉大な推理小説家の魅力を存分に楽しめるバラエティー豊かな傑作編だったのだと改めて気づく。

そして昭和という時代背景がとてもいい感じだ。
自分たちの世代にとってレトロとまだはいえない。
でももう忘れつつあるさまざまな物事。

正直、古典といっても良いくらいの名作的トリックは、謎解きだけを楽しむ人には物足りないかもしれない。刑事たちが奔走して頭を抱えなくてもパソコンが解決してくれる。
でも、だからこそこの本格推理は面白いのだ。

あとがきでも書かれていたように、ちょっと見る視点を変えるだけで、簡単に人はごまかされてしまう。固定観念の頑固さというものをつくづく実感させてくれる物語たちだ。
でも固い岩と岩の間には、意外と大きなスキができるもの。

呆れるほど頭の良い犯人たちは、そのスキをついて完全犯罪を目指す。
また、彼等はみな金や欲など現実的な動機で動いている。
それがなぜか変に小気味よい。

理解できない心の迷走による動機は、意外と科学捜査やパソコンでは解けない現実世界のミステリーになってしまったようだ。




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最終更新日  2021年12月28日 12時40分05秒
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