カテゴリ:本 ミステリー
まずこの本、目次も何もない。
ものすごくややこしい設定であるのに、いきなり始まる。 海外ものに絶対不可欠な登場人物も、2人ちょろっと載ってるだけ。 確かにこの小説、生身の登場人物は2人しかいない。 後は、全部作中人物。 第八の探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫) [ アレックス・パヴェージ ] いきなり始まる物語も、作中作の短編。 知人の屋敷に招待された男女が、そこで殺された知人の死体を発見する。 どう考えても犯人は2人のどちらか。 どちらも無実を主張し、おまえが犯人だと主張する。 果たしてどこに落ち着くか。 ミステリーにはさまざまなパターンがあり、それらのいろいろなパターンをこの本は楽しませてくれる。 そして、幕間に登場するのがこの作品群の作者である作家グラントと、編集者の女性ジュリア。 グラントがかつての黄金時代に書いた短編集「ホワイト殺人事件」の復刊を提案しに、隠遁生活をおくるグラントを訪ねてきたのがジュリア。 この本に書かれている8つの物語がそのホワイト殺人事件の内容という造りになっている。 短編小説を読者は普通に読んでる感覚。当然ながらちゃんと面白い。 やはり個人的には、アガサクリスティーの名作のオマージュともいえる一編がお気に入り。 ■木製しおり・ブックマーク「Bookmark」/Hacoaブランド 幕間の2人のやりとりで、グラントのミステリーに関する蘊蓄が並ぶが、はっきりいってうるさい。 しかしこの章の注目どころは、ジュリアが指摘する前章の作品の中のつじつまが合わない点だ。 彼女が指摘する疑問点は「あーそういえば確かに。なるほど」と納得する。 この形が続いた後、ラストはやっぱり何かしらあるのだろうと思っていると、ジュリアが驚きの告白をする。一編一編に隠された秘密を解説してくれるのだが―― 正直、日数かけて読んでいた上に、すぐに忘れるという自分のような人間にとっては「は?」という状態。慌ててパラパラと読み返し、「あ、そうか」となる。 つまり、全部の話を頭にいれておかないとジュリアの話の面白さがわからない。 でもちゃんと覚えていると、ほんとに関心してしまうくらい作りこまれたミステリーだというのがわかる。 読み捨てできない短編ミステリーと心得よう。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年07月03日 10時52分54秒
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