2007/06/25(月)14:09
なぜ、自民党は選挙に勝てるのか?
土曜日の午前中、斎藤貴男さんというフリージャーナリストの講演会に行ってきました(ゴルゴの"さいとうたかお"じゃないよ)。彼は日刊工業新聞や週刊文春のライターだったが、現在は、社会の構造格差や9条の問題に関して発言し著作活動をしています。高橋哲哉さんとともに『平和と平等をあきらめない』という本も出しています。
教員組合が主体で呼んでいたらしいが、かなり著名な方であるのに、集まった人は40人に満たないぐらいでした。新聞の催し物案内にも出ていなかったし、わたしのところにも案内は先週の木曜日に来たので他の人に声をかける時間もなかったのが正直なところです。
ただ、講演の内容はとてもよかったです。最初に憲法改正の動きが財界と政界が共になって動いていることについての分析があり、さらに、現在進んでいる格差社会についても、財界の方針、リードがあったことを語られていました。とにかく財界は、国際競争に勝つためには、人件費を落さなくてはならないからです(斎藤氏は、そのことが一概に悪だとは言い切れないが、一方で、バブル期の投機などによって生じた不良債権の責任をとった財界人はほとんどいなかった、と指摘し、会社経営の行き詰まりを、立場の弱い人々に押し付けようとしている姿を批判していました)。
結局、今の日本政府は、アメリカ型の社会が目指していて、経済界の海外での既得権(生産拠点、消費市場)を守るための政治的状況であるとのことでした。
また、改憲というと憲法9条だけでなく13条や22条に関する問題もありました。現憲法の「公共の福祉に反しない限り」という点も、自民党の新憲法草案においては、「公益及び公の秩序に反しないように自由を享受」というような表現になっていますので、より個人の自由は制限される傾向になるでしょう、ということでした。公共の福祉というと、社会福祉的な事業や交通整備などが考えられますが、公の秩序というと、様々な運動や発言も規制される可能性があります(政治的運動だけでなく、食の問題を指摘することも秩序を乱すことにつながりますし、原発の事故だって、情報公開は秩序を乱すことになるかもしれません)。
それにしても、与党が強行採決で法案をどんどん通し、不正がどんどん明らかになっても、自民党が態度を改める様子がありませんが、それは何故だろう、と質問してみました。そしたら、今の自民党には公明党という組織票があるからだ、という答えが返ってきました。公明党は母体の創価学会が選挙で相当力になっているようです。一方の対抗勢力は、かつては労働組合が母体となって支持がありましたが、現在は、その組合が弱体化しています。そういうことで現与党は安泰だ、ということでした。
しかし、創価学会がどんなふうに組織を固めているのか、ちっとも知らなかったのですが、今朝の新聞(朝日新聞)の投書では、その様子がありました。その投書者は、創価学会の地区座談会といった集会で、読経し、仏教哲学を学ぶという案内の集会に参加した(その方は講師として)とのことです。しかし、その場で、公明党の宣伝、民主党の批判があり、そのあとに、投票用紙大の紙が配られて、候補者や政党名を書く練習がなされた、ということでした。書き方についても、もっとはっきり書いてください、といった注意もなされるとのこと。お年寄りなどが多い創価学会で、そういうことまでされているとは驚きです(いまだに、半信半疑ですが、一方で、さもありなんという思いもしています)。
その投書は、税金を免除されている宗教法人の会館で、堂々と特定政党の選挙活動が行われていることに疑問を持った、ということでしたが、むしろ投票の練習する、ということに驚かされます。そして、もしかしたらそれはもっと頻繁に行われていて、条件反射的に書かせるようにしているのかもしれない、とも思わせられました(自宅に党幹部が来て、おじいちゃん、明日はこう書いてね、分かった、なんて光景が浮かんでしまいます。)。