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カテゴリ:本
こういう本は、そう一般的に読まれる本ではないのですが、ちょっとご紹介します。 日本キリスト教団で出している『総説旧約聖書』が最近の研究も踏まえ新しくなっていました。以前、購入していて、なんかの調べものときに当たるのに必要だ、と思っていたのですが、積んであったのを目にしてパラパラと開いてみました。 序章に何気に目を留めると、おっと、ついつい引き込まれてしまうではありませんか。 著者は、池田裕氏。筑波大を経て、茨木キリスト教大で教えられた方のようです。また、岩波の聖書翻訳のシリーズで歴代誌やサムエル記などを訳している方です。哲学博士ということですが、ヘブライ思想の研究者なのでしょうか。 分かりやすく、とても個人的に旧約聖書というかヘブライ語聖書の思想の奥深さを語っています。 そもそも、宗教は、宗教的とは、といったことから語り始めています。それは、生きていることの不思議を感じるところからはじまる、という叙述があり、コヘレトの言葉を引用したりしています。人生の不思議さを感じるとは、結婚における出会いをはじめ、人との出会い、偶然の出来事などにおいて、人間の力を超えた何かを感じることと等しいのだ、ということです。 さらに、へ~、知らなかった、みたいなことも。 聖書が、多くの文学者に影響を与えていることも述べた後、藤沢周平について語っています。 藤沢文学と聖書。 彼が病気で入院している時に、聖書を読んでいた、ということ。初期の作品は暗いものが多かったが、それが明るくなっていくところで、初期は彼自身の人生の傷を癒すものだったのではないか、といった考察。 というわけで、池田裕氏の著作を調べて手に入れました。 『旧約聖書の世界』(三省堂選書) こちらは、これから読むところです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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