|
テーマ:最近気になる映画は?(14)
カテゴリ:映画
安曇野の堀金アリーナで、マイケル・ムーアの「シッコ」を見ました。
最近、病院が独立行政法人化され、病院単独の利益が求められたりしますが、そういう動きに不安を覚える医療関係者が中心となって上映会を催したようです。 アメリカの医療の矛盾をついた好作だと思いましたが、アメリカではニクソン大統領の頃に、医療保険制度を民間に行わせるということになりました。そうして、保険会社は莫大な利益を得て、現在に至っているとのことですが、医師ががんだと診断してこうした治療が必要だ、と認めても、保険会社の診断医師がそう判断しなければ、保険料は下りない、ということになっているようです。そして、保険料が下りなければ、多くの貧しい人たちは治療を受けられないのです。入院費が払えなくなった人たちが、ホームレス支援センターの前で「捨てられる」場面もありました。中指と薬指を切断した男性が、それぞれの指の接合費用を聞かされ、結果的に薬指だけ接合した、ということも紹介されていました。 一方、カナダでは、確かに国民皆保険制度が財政的に破綻しつつあるとのことですが、すべての医療費が無料ということを驚きをもって語られていました。アメリカに行く場合には、アメリカで事故にあってアメリカで治療しなければならなくなったときのために、保険にはいってから行く必要がある、ということも笑い話のように語られていました。 その他、イギリス、フランス、キューバで医療費無料が実現していることが紹介されていました。日本でも医療費負担額が年々増額していく感じがありますが、アメリカ型にならないよう国民が見張らなければならないと思いました。フランスのことが紹介されていたときに、あるフランス人が、「こうした医療費無料や子育て支援(出産後のハウスキーパーが週2回無料で利用できる)などが実現するのは、政府が国民を恐れているからなのよ」と語っていました。 民主主義とは何か、というのなら、「政府が国民を恐れる社会」と言えばよいのかもしれない、と思わさせられました。 ところで、この映画の監督のマイケル・ムーアは、カトリック信者で、毎日曜日のミサは欠かしていないとのこと。映画のパンフレットには、彼の信条はそうした信仰と無縁ではないだろう、と語られていました。敬虔なクリスチャンということでは、ブッシュ大統領だってそうだったのでしょうが、愛すべき隣人というときに、どこを向くのかによって、態度は大きく分かれるのでしょう。 さらに、パンフレットでは、デイブ・スペクターのコメントが寄せられていましたが、彼はマイケル・ムーアは眉唾ものと断定していますが、エンターテイメントとして認めています。アメリカの医療や医薬は世界で最高水準である、という面があり、ムーア監督にとって不都合な事実を述べていない、と語っていたのです。しかし、ドキュメンタリ-であっても、どの視点から撮るのか、ということが極めて大事である、ということを理解していない発言だと思いました。どんな報道にも視点があり、多くはそれを客観的であるかのように装いますが、そんな客観性はないのだ、と私は思っています(聖書解釈だって本当はそうなんですよ)。どの視点に立つのか、そのことをかえって明らかにしている点、ムーア監督の撮り方は誠実であると私は思いました。 最高の医療、医薬品がありながら、それを享受できない国民がいる、というアメリカ民主主義の問題点が、この映画が訴えるところであり、それは、日本ではどうだろうか、ということを考えさせるものとなっていると思いました。 【中古DVD】マイケル・ムーア アポなしBOX 初回限定版/ヒューマン アホでマヌケなマイケル・ムーア 華氏911 コレクターズ・エディションマイケル・ムーア 傑作問題作「ボウリング・フォー・コロンバイン」よりも以前に、テレビシリーズとして放映されていたドキュメンタリー!その”過激さ”と”大胆さ”で話題をさらったマイケルの世界観!■マイケル・ムーアの恐るべき真実 アホでマヌケなアメリカ白人<全3巻セット>■ 傑作問題作「ボウリング・フォー・コロンバイン」よりも以前に、テレビシリーズとして放映されていたドキュメンタリー!その”過激さ”と”大胆さ”で話題をさらったマイケルの世界観!■マイケル・ムーアの恐るべき真実 アホでマヌケなアメリカ白人<全3巻セット>■ マイケル・ムーアの恐るべき真実 アホでマヌケなアメリカ白人 1/マイケル・ムーア[DVD] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Mar 19, 2009 08:42:42 AM
コメント(0) | コメントを書く
[映画] カテゴリの最新記事
|
|