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ガムを踏んだ。
昼飯に国道1号沿いの『すき屋』で 『豚あいがけカレー丼おん玉のせ』をテイクアウトして、 ルンルン気分で車に戻る駐車場。 車に乗り込もうとする私の左足に、 なぜか引き戻されるような感触あり。 みると、1mくらい手前の地面と、 まさに今、車の中に収まろうとしている左足の裏をつなぐ、 きしめんのように伸びた白いガム! 「あっ!」と思っても、 すでに車に乗り込むための体重移動は止められず、 きしめんは車のフロアマットにぺた。 タッチアンドゴーで足を引き出したのは言うまでも無いが、 すでに、地面と運転席フロアと左足裏の3点を結ぶ、 きしめん状ガムによる『サインはV!』が完成していた。 「チキショ~!」 車に乗せてあるはずのウェットティッシュも見つからず、 仕方なく、素手でガムはがしにかかる。 おばあちゃんの知恵袋には 「服についたガムは氷で冷やして固めてとるのぢゃ」 と書いてあるだろうが、真夏のアスファルトで、 とろとろのチーズフォンデュになったつもりの、 ガムを固めることなど、この炎天下では不可能だ。 私が、ガムと悪戦苦闘していると、 隣の駐車ますから黄色いトラックが発進して行く。 車の中で食後の涼を取っていたはずの彼らは、 おそらく事の一部始終を見ていたと思われる。 「ガムの着弾位置からして、奴らが吐いたに違いない。 だから、慌てて出て行ったのだ!間違いない。」 と、まったく根拠もいわれもない恨みがましい視線を、 トラックの後姿に投げかけてみる。 悪戦苦闘しながらも、なんとかガムを始末して、 なんとなく指の臭いを嗅いでみる。 私の経験上、だいたいこうゆう時は、 『フルーツ』か『ミント』の臭いが指に残る。 と思いきや、予想外の『ヤニ臭』。 思わず立ちくらむ。 せめて、フルーツの甘いカオリで、 「ふっ、運が悪いぜ」と締めくくりたかった。 ちょっと、『ミント』に香水の匂いでも混じっていたら、 それはそれで「お行儀の悪いお嬢さんだ。ふっ」と、 笑って済ませてやるところだった。 ヤニ臭いガムは、それがさっきまで、 どこぞのオヤジの口の中にあった物である事を 思い知らせるのに充分だった。 オヤジとは限らないのだが、 私のナイーブなくせに豊か過ぎる想像力は、 ガムを吐き散らすオヤジの、汗臭い体臭や、 髭剃り後の青々したあごの感触まで、 一瞬にして脳裏に描き出してくれた。 左手の親指と人差指を極力使わないようにハンドルを握り、 家に着くなり『桃の香りのナイーブハンドソープ』で 入念に指先を洗浄したのは言うまでも無い。 ガムは紙に包んで屑カゴね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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