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ブブン・ブブン・ブン! イェー! 愛し合ってるかい! といえばRCサクセション。
(あの忌野清志郎も最近ではすっかり『自転車おじさん』になっちまった) おとといの夜は強い西風が吹いていた。 我家から川に沿って西へ200mくらい下流に行くと比較的大きな牛舎があるのだが、そこからと思しきハエが風に乗って大挙して我家に吹付けられて来たらしい。 気づかずに雨戸を閉めたら、2,3匹窓と雨戸の間に紛れ込んでいた。 これは外に出さなくてはと、部屋の中に入られないように注意しながら、少しだけ雨戸を開けてハエを外に出そうとした。 その際一匹だけ、室内に侵入されたが、ちっ、と舌を打ち、そいつは雨戸の間の奴を追い払ってから、窓を開けてお暇願おうと、とりあえず捨て置くことにした。 では、と、ハエを追い立てるように窓ガラスを叩くと、サッシの下のほうからぞわぞわと50匹くらいのハエが湧き出てきた。 (うっ、うう・・・っ) 私は一瞬にして声を失った。(どうしてこんな事態になったことやら・・・) 虫が飛んでくると狂喜して、窓越しに追い立てる家猫(はな、メス2歳7ヶ月)でさえ、目の前のあまりにおぞましい光景に怯え、部屋の反対側まで飛んで逃げたほどだ。 窓を叩いてみても、ブンブン飛び回ってはまたガラスにへばりつくだけで、いっこうに雨戸の外へ飛んでいく気配は無い。 仕方なく無視を決め込もうとも思ったが、机に座っていると、羽音がひっきりなしにして落ち着かない。 しかも良く見ると、『ショッカー』の下っ端(「イー」って言って吹っ飛ばされる奴ら)のような模様入りの腹が、皆、透けるほどパンパンに膨れている。 どこかに卵産み付けるつもりだろうか?(お願いだからうちはよしてくれ!) さすがに顔の右側が痒くなりそうな気がしたので、カーテンの無い窓を、つぶしたダンボール箱で目隠しして、ラジオのボリュームを上げた。 羽音には、ジャニス・ジョップリンやジェームス・ブラウンの暑苦しいけだるい感じが合うかなとも思ったが、それじゃ、ジャニスやJBに申し訳ない。 いやむしろ、アフリカンビートの太鼓や歌のほうがいいかな? たかってくる蝿どもを、アンニュイな尻尾の動きで払い落しながら、気にかけるそぶりも無く、悠々と草原を行くヌーの群れ。 あるいは、顔に蝿がたかっていても払いもせずに、ニコニコと笑っている、赤い衣の似合う草原の民。 遠い昔のテレビ番組、『野生の王国』の久米明のナレーションが聞こえてくるようだ。 私は蝿の羽音を聞きながら、人知れずサバンナの大平原に思いを馳せる。 私の心が、ペニスサックを着けた裸族の青年(おっとこれはパプアニューギニアか?)のように、上下に飛び跳ねかけたとき、部屋に侵入した一匹が耳元を掠めて飛び回る。 (貴様、俺のマインドトリップを邪魔しやがったな。許さん!) と、今度は宮本武蔵になったつもりで掴み取ってやろうと、親指と人差し指をかにのように構えて仁王立ちすること四半時。 蝿はあざ笑うかのように、いまだ飛びつづけている。 (所詮、俺は凡人さ・・・) 寂寞とした諦念に襲われ、我に返った。 聞くところによると、坂上二郎氏が『笑っていいとも』に出演したときに、スタジオを飛び回る蝿を何気なく摘み、それを放すとまた飛んでいったという。 ジローさんの『飛びます!飛びます!』はだてじゃない。 私はジローさんにかなわない。無論、武蔵には遠く及ばない。(別に修行してるわけじゃないからあたりまえだが) 『五月蝿い』と書いてウルサイと読むが、『十一月蝿い』はさしずめオゾマシイかヤカマシイというところだろうか、などと思いを巡らせる晩秋(初冬?)の長い夜だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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