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カテゴリ:神社仏閣・御朱印
前回掲載した御船八柱神社から車で5分程北の、御船町洞口の鬱蒼とした小高い山の頂に鎮座するのが今回掲載する洞口 愛宕神社。
こちらは八柱神社から愛宕神社に向かう県道11号線に「愛宕神社 こちら」の看板は立っていますが、交通量の多い県道には駐車余地はありません。 この看板は歩いて訪れる参拝者向けの看板と理解した方がいいでしょう。 上はいつもの地図。 左の明治24年当時の地図、鎮座地には鳥居の印が描かれており、印をもって、創建時期の推察をするのは無意味ですが、少なくとも当時から認識されていたことは事実です。 八柱神社から愛宕神社駐車場入口までのルートはとても分かり難いかもしれません、こちらを参考にしてもらえればいいかと思います。 駐車場入口には「愛宕神社駐車場」の立て看板がありますが、通りが一方通行なので、入口を通り過ぎてしまった場合は、もう一周してくることになります。 何事も無ければ八柱神社から愛宕神社駐車場までの移動時間は5分程で到着します。 ここからの写真の並びは一旦境内に車を停め、県道に戻って「愛宕神社 こちら」から参道を通り社殿に向かう様に並べてあります。 県道から愛宕神社に向かう参道はこんな感じ。 両脇は雑木林、道には枯葉が堆積し、里山の散策路的な様相です。 先を進むと正面に石造明神鳥居が現れます。 足元には朽ちた木の枝が横たわり、クモの巣が進路を遮り、クモの糸を切りながら先を目指します。 この道からあまり訪れないのだろうか。 足元は枯れ葉で滑りやすいので油断は禁物。 愛宕神社鳥居。 この正参道と裏参道含め唯一の鳥居で、文字は刻まれていますが読み取れなかった。 地史によると明治中期に寄進された鳥居らしい。 鳥居の遥か先に石段が見えますが、そこまでは枯れ葉に覆われたこの坂が続きます。 自分で落葉を踏みしめた時のガサガサの音は良しとしても、心当たりのない音が聞こえると気持ちのいい雰囲気ではないかもしれない。 荒れた参道を進むと、石段と拝殿が見えてきます。 この石段の手前がフラットに開かれており、左右に境内社と手水鉢があります。 今は使われてはいないだろう、年代不明の手水鉢。 コンクリートの祠の中は、村中安全と刻まれた台座の上に役行者像が安置されています。 こちらには社が祀られていましたが外観から社名は分からなかった。 石段を登ると境内が広がります。 愛宕神社社殿全景。 境内には由緒がなく、創建や由緒を愛知県神社庁から調べて見ましたが、豊田地域の一覧に洞口愛宕神社の登録はありませんでした。 また、西加茂郡誌(大正15)の御船或いは洞口に同社の社名は記されていませんでした。 国立国会図書館デジタルコレクションに、昭和60年(1985)に御船町が出版した「御船の今昔」という地史があり、御船町鎮座の各神社について詳細が記されており、そのなかで興味深い内容を見付けることができました。 今回の愛宕神社や、これまでに巡拝した御船津島社、今回は訪れなかった神明社の三社が、明治42年(1909)4月に御船八柱神社に全て合祀されたようです。 各社から社殿を担いで御船八柱神社本殿両脇に遷したものの、神が去った旧鎮座地では火災が頻発したたため、当時の八柱神社社掌の指示で各社の社殿、御神体が再び元の場所に戻されたというものでした。 更にそうして戻された御船津島神社も大正初期に一度廃絶したとありました。 この地史には愛宕神社についても記されており、そこから抜粋したのが以下の内容になります。 【愛宕神社】 鎮座地 御船洞口 祭神 加具土之命 境内社 御鍬社 祭神:天照大神 稲荷社 祭神:天宇受売命 【本殿】 昭和32年(1957)に新本殿を造営。 本殿新座を祝い、八柱神社で歌舞伎芝居を上演した。 【拝殿】 昭和13年(1938)10月、八柱神社拝殿建替に伴い、旧拝殿を愛宕神社に移築したものが現在の拝殿である。 昭和35年(1960)、拝殿の柱に補強のため支柱が付けられた。 石鳥居は明治中期寄進。 幟支柱は明治28年(1895)寄進。 【祭礼】 旧暦8月24日(現在4月第二日曜日) 創建時期は定かにはなりませんが、祭神や御船八柱神社との繋がりなど知ることができました。 明治42年以前には鎮座し、古くからの神社ともあり、少なくとも江戸末期には祀られていたものと思われます。 現在の切妻瓦葺の四方吹き抜けの拝殿は、昭和13年(1938)に御船八柱神社から移築した拝殿で、隅柱の補強は昭和35年(1960)に追加されたもので、補修を加えながら、現在も大切に維持されています。 本殿を覆屋が保護する。 以前の写真では本殿に覆屋はなく、本殿は野晒しでした。 昭和32年(1957)の新本殿建立にあたり、新たに覆屋が造られたものだと思います。 手前の石灯籠の寄進年は昭和59年(1984)に寄進されたものでした。 覆屋右手の社。 文字は刻まれていますが識別ができず、覆屋左にも同様の社があります。 境内社として御鍬社と稲荷社と記されているので、そのいずれかでしょう。 拡大すればするほど分からなくなる、せめて狐の姿でもあればいいのですが・・・ 覆屋正面の眺め。 本殿前を一対の小さな狛犬が守護します。 寄進年未確認の狛犬。 小振りながら顔つきは勇ましい。 本殿全景。 横から眺められないが、流造の社で正面の龍の飾りや脇障子には瀧から流れ落ちる水の様子が彫られています。 祀られるのは火の神、加具土之命。 一度はここから離れたものの、再びこの地に戻り、火伏の神が災いから洞口集落を護っています。 覆屋左の境内社。 覆屋前から正参道方向の眺め。 駐車場入口から、はっきりと駐車場が分からないため、道なりにアケードを進み、樹々の間を縫うように進むと境内に乗り入れることができました。 境内から正参道に続く降り口の眺め。 右手の幟立ては寄進年は見なかったが「御船の今昔」には、明治28年(1895)の寄進とありました。 石段下の坂道から鳥居方向の眺め。 この先が県道11号線であの「愛宕神社 こちら」の看板に至ります。 洞口 愛宕神社 創建 / 不明 祭神 / 加具土之命 境内社 / 御鍬社、稲荷社、不明社1社 祭礼 / 4月第2日曜日 所在地 / 豊田市御船町洞口
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Last updated
2024.12.02 15:04:43
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