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2026.03.13
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カテゴリ:神社仏閣・御朱印
「大洗磯前神社」。
 JR大洗駅から東の大洗海岸方向へ徒歩30分ほど、​茨城県東茨城郡大洗町磯浜町に訪れた。

大洗下交差点から東へ望むと、太平洋の潮風を受けて聳える大鳥居が、海と街の境界に静かに佇んでいる。
 訪れる人を神域へと誘うようなその姿は、大洗海岸を見下ろす丘上に鎮座する大洗磯前神社への入口となっている。

大鳥居をくぐり、道路沿いに連なるアンコウ料理のお店やホテルを過ぎると、道路左側にニノ鳥居が聳えており、そこから長い石段が丘上の社殿に続いている。

石段脇の狛犬。
 いつからここで見護ってきたのだろう、もはやディテールすらはっきりしないほど潮風で浸食されてしまっている。
そんな老体に願掛けの積石が山のように積まれている。

石段の右側に鳥居がふたつ。
 左の鳥居は清良神社のもので、社に祀られている祭神は小幡宥円命。
江戸但馬守通泰により大洗明神下で殺害された小幡城の城主小幡義清の霊を鎮めるために祀られたもの。

もう一つの鳥居は神池のもの、海岸に近い段丘の下に滾々と真水を湛えており、金魚が生き生きと泳ぐ姿がある。

長い石段。
 途中に踊り場は何カ所かあるものの、遥か上に見える三ノ鳥居まで一気に登りきるほど若くはない。

石段を上った境内右側の手水舎。

三ノ鳥居の傍らにある大洗磯前神社の解説と境内マップ。
「祭神 大己貴命、少彦名命。
由緒
 『日本文徳天皇実録(879)』によると、平安時代の斉衡三年(856)、神磯に大己貴命、少彦名命の二神が降臨されたのが創建と記されている。
古くは大洗磯前薬師菩薩明神社とも呼ばれ、福の神様、医薬の神様として慕われています。
 江戸時代には水戸徳川家の尊崇を受け、光国公の命を受け現在の本殿・拝殿等が造営された。
光国公は大洗を訪れ、神磯の景観を「荒磯の 岩に砕けて散る月を 一つになしてかへる浪かな」と詠んだという。」
その昔は三ノ鳥居から神磯も良く眺められたのだろう、現在は道路際に建物が立ち並び、この場から神磯に建てられた鳥居も見通せなくなっている。

随神門(町指定文化財)。
 切妻銅板葺の桁行三間、梁間二間の随神門で正面や妻壁に施された透彫りは手が込んでいる。
享保15年(1730)、水戸藩2代藩主徳川光国の命により建てられたもので、両の間には随神が安置されています。

明治3年(1870)に建立された備前焼の狛犬。
 岡山では珍しくないがこの地で赤い狛犬は珍しいかもしれない。

随神門から随神像と拝殿の眺め。

両の間に安置されている随身像。
 比較的綺麗な像で、詳細は不明で、大洗町の文化財一覧の中には含まれていなかった。 

随神門の透かし彫り、鷹と松、千鳥らしき姿が彫りこまれていた。

随神門から境内を望む。

拝殿は入母屋平入で千鳥破風と1間の唐破風向拝が施された、桁行5間、梁間2間のもので、向拝虹梁や手挟など鮮やかな彩色が施されています。

袖壁や手挟、木鼻に蟇股など、ポイントを絞った装飾が施され、上品な趣が漂います。

拝殿から本殿方向の眺め。
 祭神は先に記載した大己貴命、少彦名命の二柱で、大己貴命に所縁のある兎の装飾も各所で見られます。

こうして見る拝殿も、享保15年(1730)に光国公により建立されたもの。
 拝殿で参拝を終えると、大方の参拝客は随神門に向かいますが、拝殿左から本殿後方へ回り込んでみたいもの。

拝殿左側に回り込むと、塀越しに茅葺屋根の本殿を間近に見ることができます。
 棟には三本の鰹木と外削ぎの置き千木が載るもので、屋根の形は銅板で覆われた与利幾神社本殿の屋根形状に酷似するものです。
伝統素材をそのまま表したものは、手間もかかり、なかなか目にする機会がすくなく魅かれるものです。
 荘川郷の合掌集落、これが全て銅板で覆われたら果たしてどうだろう。

本殿左に流造の三社相殿があります。
 本殿を挟んで東西にこうした相殿があり、西側にあたるこちらを西殿と呼ぶようで、左から大杉神社、水神社、八幡宮が祀られています。

拝殿後方から社殿の眺め。

右側から見る本殿。
 落ち着いた色合いの外観に、彩色された桁隠しや手挟・木鼻、金色の飾り金具がアクセントになっています。

本殿右側の東殿。
 こうして見ると流造の特徴が良く分かります。

三間社流造の左から大神宮、静神社、水天宮の三社が祀られている。

境内から随神門の眺め。
 この日は夕方にかけて雲が湧きだし寒い一日でしたが、境内の梅は開花スイッチが入ったようで白い花を付け始めていました。
明日は朝日に照らされた神磯ノ鳥居を眺めるため、近くに宿をとってあります。

翌日の早朝の神磯ノ鳥居。
 水平線に雲が湧き日の出は見られなかった。
しかし、朝焼けに染まる大海原と砕け散る波しぶきの先に立つ神磯ノ鳥居の姿は、光国が詠んだ「荒磯の 岩に砕けて散る月を 一つになしてかへる浪かな」、その世界観が感じられ忘れられないものになった。
 昔の人は、こうして僅かなひとときに訪れる自然が魅せる光景を見て神を感じたのだろう。
信心深い方ではないが、目の当たりにみると無意識に合掌する自分の姿がある。

大洗磯前神社のニノ鳥居と三ノ鳥居が神々しく輝き、長くて辛い石段もこころなしか暖かく感じる。


茨城県東茨城郡大洗町 大洗磯前神社
祭神 / 大己貴命・少彦名命
創建 / 斉衡3年(856)
境内社 / 清良神社、大杉神社、水神社、八幡宮、大神宮、静神社、水天宮





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Last updated  2026.03.23 18:33:45
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