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カテゴリ:虫
『カミキリ虫とカブト虫の幼虫が似てるのは何故か』
というコメントをsnowrun29さんから頂きました。 今回はその話をいたします。 ---------- 動物が発生するときは、爬虫類、両生類、鳥類や人間、はては昆虫までも 発生初期の段階においては同じ構造をしています。 受精卵が細胞分裂を繰り返し細胞の団子になった時、表面に陥没が生じます。 その陥没はやがて反対側の表面をつらぬき、細胞の団子はちくわ状になります。 この間の内側は消化管になり、 最初に陥没した側が口になるのを旧口動物、 突き抜けた側が口になるのを新口動物と言います。 シリーズの(その2)で出てきた図は、ここから区別されているのです。 再掲図1 : ちくわによる区別 ちくわ状の表面はやがて皮膚や神経系になり、脊椎動物においては骨格なども これに沿って形成されるのですが、長くなるので詳しく説明はしません。 つまり、ちくわにそって身体が作られるため、 ちくわには体節という繰り返し構造が生じます。 この体節は身体の基本形なので、どの生物も似ています。 ここから発生がすすみ、それぞれの生物ごとの特殊化が始まるのです。 例えば、お好み焼やタコ焼き、ホットケーキ、もんじゃ焼きなどは完成品だけを見れば区別できますが、 下ごしらえの段階では見た目が似ているのと同じことです。 図1 : 体節の変化(イメージ図) 図1は下に行くにつれて進化しています。 一番下は昆虫で、頭部は6つの体節からなっています。 最初の体節の肢は途中でなくなり、代わりに複眼を持ちました。 二つ目の体節の肢は触角になり、 三つ目の体節は退化し、 あとの3つの体節は順番に、大あご、小あご、下唇という昆虫に見られる口器になりました。 再掲図1と図1を見比べてみてください。 図1の一番上はミミズに見えると思います。 図1の真ん中あたりは、ダンゴムシに見えないでしょうか。 昆虫のバラエティに富んだ変化は、この肢が変化し、翅(はね)や触角になったり 感覚器になったりした結果、生まれたものなのです。 幼虫というまだ成長が未熟な状態は、いわば進化の途中なので カミキリ虫とカブト虫の幼虫は似ているのです。 【人間と昆虫の祖先 シリーズ】 おしまい ---------- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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ありがとうございます☆
旧口動物と新口動物 前回、見た時「何のことやろ?」と検索しなるほどでしたが、 今回の「ちくわ」とてもよく解りました~☆ 正直に白状しますと(アセ) 最初「旧口」って「「旧ロシア」みたいと思ったのですが まさかそんなアホな事言えるはずもなく………(((((((((;^^A もといっ! カミキリムシとカブトムシの幼虫が何故似てるか、 また複眼や、触角などが体節の1つずつが…ってのもほぉ~でした。 蛾の、蝶の幼虫たちはそれぞれ違う形態を取っています。 カミキリ虫とカブトムシは種類も違うのになって思うのですが 蝶とか蛾の方がカブトムシ達より進化してるって事でしょうか? あ、「再掲図1 : ちくわによる区別」 …ここ個人的に大いに受けましたv(拍手!!) (2010.10.29 23:40:11)
なぜかきょうはおでんでした。
ちくわを食べたのはなにか縁があったのかもしれませんね。 これを読んでから食べたらもっと味わえただろうに… わかりやすい説明でよく理解できました。 テストに出ても大丈夫そうです。 絵はすべてMASAさんが描いてらっしゃるのですか? 絵の才能もあるのですね~ 今度はどんなゆるキャラがでるのか楽しみです~ (2010.10.30 00:20:18)
カミキリムシの幼虫は観たことなかったですが、
大変学ばせていただきました。 哺乳類の馬の胎児と人間の胎児も写真で観たこと ありますが、似ていました。そんなものかな? ムカデは昆虫に進化しなかった生き物なのですね? 昆虫に進化した生き物は、羽を持って飛ぶために 短くなったのかしら? それにしても、私はこの進化というもので、 いつも子供のころから気になっているのは、 足が減るのは退化したと理解できるのですが、 昆虫に羽根が出来た理由は何故、どのような理由に よるものなのか? 分かります? 教えてください。MASAさん~。 (2010.10.30 00:21:22)
妊娠中、「赤ちゃんは10ヶ月で
10億年の旅をしてくるのです」 (みな似たような胎芽から脊柱動物の 進化に沿って成長してヒト形態になる) とか言われてました。 昆虫類とは違う系統でも、 生物としての流れは 大まかには同じ感じなんですね。 (2010.10.30 15:35:49)
いわどん0193さん。こんにちは。
>●まさか「穴」のこっちがわとそっちがわの違いが、こんなに「根本的」な問題だとは、想像だにしませんでした ^^^) なかなか奥の深い話なのです^^ (2010.11.02 23:15:48)
snowrun29さん。こんにちは。
>ありがとうございます☆ >旧口動物と新口動物 >前回、見た時「何のことやろ?」と検索しなるほどでしたが、 >今回の「ちくわ」とてもよく解りました~☆ どうもすいません^^; 長くなるのでカットしたのです。 >正直に白状しますと(アセ) >最初「旧口」って「「旧ロシア」みたいと思ったのですが >まさかそんなアホな事言えるはずもなく………(((((((((;^^A >もといっ! そういう指摘はありがたいです。 考えてもいませんでした^^; 確かに『ロ』はややこしいですね。 >カミキリムシとカブトムシの幼虫が何故似てるか、 >また複眼や、触角などが体節の1つずつが…ってのもほぉ~でした。 > >蛾の、蝶の幼虫たちはそれぞれ違う形態を取っています。 >カミキリ虫とカブトムシは種類も違うのになって思うのですが >蝶とか蛾の方がカブトムシ達より進化してるって事でしょうか? > >あ、「再掲図1 : ちくわによる区別」 >…ここ個人的に大いに受けましたv(拍手!!) カブトムシと蝶の進化レベルは同じです。 昆虫と一口にいっても形態は様々ですが、別系統を当てはまるほどの進化の差はありません。 (2010.11.02 23:35:20)
emairさん。こんにちは。
>なぜかきょうはおでんでした。 >ちくわを食べたのはなにか縁があったのかもしれませんね。 >これを読んでから食べたらもっと味わえただろうに… どちらから食べてよいのか、頭をひねりこんにゃくですね^^ >わかりやすい説明でよく理解できました。 >テストに出ても大丈夫そうです。 楽しんでいただけてよかったです^^ >絵はすべてMASAさんが描いてらっしゃるのですか? >絵の才能もあるのですね~ >今度はどんなゆるキャラがでるのか楽しみです~ 絵は自分で描いています。 (2010.11.02 23:44:45)
花村美葉さん。こんにちは。
>カミキリムシの幼虫は観たことなかったですが、 >大変学ばせていただきました。 >哺乳類の馬の胎児と人間の胎児も写真で観たこと >ありますが、似ていました。そんなものかな? >ムカデは昆虫に進化しなかった生き物なのですね? >昆虫に進化した生き物は、羽を持って飛ぶために >短くなったのかしら? 哺乳類なので胎児まで成長してもそっくりです。 ムカデは昆虫にはなれなかった生物です。 『短くなった』とは何の事でしょうか^^; いろいろ考えられるので具体的にお願いいたします。 >それにしても、私はこの進化というもので、 >いつも子供のころから気になっているのは、 >足が減るのは退化したと理解できるのですが、 >昆虫に羽根が出来た理由は何故、どのような理由に >よるものなのか? 分かります? >教えてください。MASAさん~。 その話は面白いので、本編で書かせていただきます^^ (2010.11.02 23:58:13)
ひなたぼっこねこさん。こんにちは。
>妊娠中、「赤ちゃんは10ヶ月で >10億年の旅をしてくるのです」 >(みな似たような胎芽から脊柱動物の >進化に沿って成長してヒト形態になる) >とか言われてました。 >昆虫類とは違う系統でも、 >生物としての流れは >大まかには同じ感じなんですね。 その表現はロマンチックですが、正確に表現するならば 「赤ちゃんは10ヶ月で10億年分の知識を勉強してくる」 となります。 生物が長い年月に蓄積した世界を生き抜くための知識はDNAに記され、初期の細胞はそれを読んで形を作ります。 (2010.11.03 00:05:29) |