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カテゴリ:社労士の本棚
フリーライターの吉田典史氏から、著作の献本を受ける。吉田さんは、主に人事労務関係分野の本を書いている人で、ある意味、人事労務の専門家なのだ。いただいた本のタイトルは、あの日、「負け組社員」になった・・・という、まぁ身に覚えのある俺には笑えないタイトルだな。(笑) 俺が大学を出て就職したのは、まだバブル経済のちょっと前で、まだ企業側が強い買い手市場だった。俺は上場企業に入社したとたん、入社前に約束されていたことをいきなり反故にされたのだ。入社前と話が違うことは沢山あったけど、一番酷かったのは勤務地の変更で、このため遠隔地へ引越をしなければならなくなった。そして俺が腹が立ったのは、その引っ越し代はおろか、勤務地への旅費さえ自腹だったことだ。 そして、入社後一番最初に与えられた仕事は、新人の仕事ということで、吉原のソープへ集金に行く事だった。新社会人として、人生最初の仕事がソープの集金というのは、なんとも締まらない話で、正直、プライドがズタズタになった。 まあ、そういうわけで俺の場合、入社早々「負け組社員」になった訳だが、当時は、まだ転職ブーム前。上場企業に入社したら定年まで勤め上げるのが当たり前みたいな時代だったのだ。もちろん、リクルートみたいな転職を支援する会社もあったのだが、管理職や技術職を対象にしたものだったのだ。 入社後数ヶ月で、リクルート社に転職の相談に行ったところ、物知り顔のカウンセラーが出てきて、入社してすぐ辞めたいなんてやつは、どこも欲しがらない、大卒というだけで、いったいあなたになにが出来るんですかと高飛車に叱られる始末・・・。 この2年後ぐらいに、バブルに火が付いて、人手不足がはじまり、第2新卒とか転職ブームが起こり、会社が気に入らなかったらさっさと条件の良いところに転職するのが常識になった。リクルートも数年後に、いわゆるリクルート事件を起こし、今振り返るとロクでもない会社だったと思うよな。
まあ、そういうわけで俺としては会社を辞める準備として、入社早々資格試験の勉強をはじめることになったのだが、会社への恨みがあったので、資格試験の勉強は勤務時間中しかしないことにしたのである。とはいえ、上司の目を盗んで勤務時間内に勉強を続けるのはなかなかテクニックが必要だった。 当時、俺には2人の上司がいて、この2人の折り合いが悪かったのでそれを利用することにした。俺はこの2人がさらに仲が悪くなるように画策したのだが、それは自分でも不思議なくらいうまくいき、社内で大声で口論するほどになった。けんかをすればするほど、新人の俺には目が届かなくなるというワケ。 約2年の間に3つの国家資格試験に合格したあと、調子に乗った俺は、不動産鑑定士の資格試験の勉強をしていたのだが、上司の片っ方が、ケンカのあげく、会社を辞めてしまったのだ。俺が苦心して構築してきた居心地の良い環境もついに終焉の時を迎えたのだった。 もし、もっと居心地の良い会社に勤めていたら、俺もこんな社労士業なんてつらい仕事をしていなかっただろうと思うね。もし、今いる会社が、それなりに居心地がいいのなら、なんとしてもしがみつく方が賢明だと思うよ。 吉田さんの本、あの日、「負け組社員」になった・・・は、24のケーススタディが詰められている社内遊泳術、社内処世術の良書だと思ったね。社労士になると、だいたいは会社側の立場で、問題社員を辞めさせる方の相談が多いわけだが、辞めさせられる側の立場のことも、少しは分かっておくほうがいいと思ったね。この本を読んで、俺はリーサラ時代のことを思い出したのだが、社労士が読んでも十分 勉強になると思ったよ・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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