【ご報告】軽井沢事故に際して
再び、極めて残念なバス事故が発生しました。何よりもまず一人の人間として、亡くなった方々のご冥福と怪我をなさった皆さんの一刻も早いご回復を祈っております。今回は若い方が中心だったこと、そのためSNS上の写真などを入手しやすくお一人おひとりの情報が詳細に報道されたこと、怒りや悲しみをぐっと抑え込んでのことと思われるご両親のコメントなどもあり、ご本人やご家族の方の悲しみや無念さはいかばかりか、胸が痛みます。併せて、考えてみればあずみ野観光の事故直後から常に何らかの形でバス事業の制度の見直しを手伝ってきた立場としては、ただ無念という気持ちです。ここまでの道程で、色んな方のご決断やご努力がありました。制度が変わったことで、安全性とは全く別の部分で事業継続が困難になり涙を呑んで高速バス分野から撤退を決めた経営者の決断などを思えば、バス事業者としての実力うんぬん以前にそもそも会社(「企業」という言葉さえふさわしくなさそう)としての体をなしていない未熟な事業者によって、業界への信頼が一気に消え失せたことは悔しくて仕方ありません(事故の直接的な原因については警察の捜査の結果を待たなければならず、事業者の管理体制が事故に直接つながったかどうかはまだ不明ですが、当該事業者が極めてずさんな状況であったことと、そのことが社会から業界への信頼を失わせたことは間違いないと思います)。事故当日、ニュースを知ったのは、夜行高速バスで出張先の都市に到着した直後でした。朝食を取ろうと喫茶店に入ってモバイルを見たら、ニュースの見出しが「バス横転。死傷者多数」。最初は、遠い海外での出来事だと感じたというのが率直なところです。たまたま、でしょうが、ニュースの詳細を読もうとタップした瞬間、ある記者さんから一発目の電話が入りました。その後はひたすら電話の嵐。出張を早めに切り上げさせてもらい(その日は十分なコンサルテーションができなかったにもかかわらず、帰り際に、先方の常務が缶コーヒーを買ってカバンに入れてくれました。関越道事故後の対応に追われた後の初の出張の際も、地元の温泉に連れて行ってくれ労ってくれた方です)、復路の高速バスもキャンセルして新幹線で東京へ。後はただただ取材対応とテレビやラジオの出演に振り回されました。黙っていれば「過酷な勤務、安全軽視のブラックな業界」という報道になってしまいます。そうなると、集客にも影響しますし乗務員のなり手も減ります。細かくは書きませんが、譲るべきところは譲り、主張すべきところは主張し、まずは「多くの事業者はまっとうである」と報じていただくことに注力しました。次に、消費者視点では「シートベルトの着用」、業界の整序化という意味では「貸切バスの新運賃制度による収益性改善→待遇改善や安全性向上への投資」を「出口」と決め、真摯に、かつ粘り強く報道対応を重ねることにしました。報道対応の中で、新運賃制度の価値をあらためて認識しました。関越道事故の際にも既に新高速乗合バス制度が決定していたことが救いになりましたが、今回も同様です。あずみ野観光の事故以来行なわれた多くの制度改正の中で、この新運賃制度は、貸切バス事業者が積極的に受け入れる動機がある唯一の改正です。既に多くの事業者で収益性が向上。だからこそ中古車しか買えなかった中小事業者まで新車を発注し、バックオーダーが1年という「バブル」を生んでいるのです。人手不足の中、収益性向上を乗務員の待遇改善や各種安全性装置などに再投資しない事業者は、まずは乗務員から選ばれなくなり「人手不足倒産」に向かいます。実際にそうなるかどうかは未来にならないとわかりませんが、少なくとも「バスの仕事=過酷」というのは過去の話で潮目が変わったんですよ、というメッセージを、むしろ業界内に対して説明できた意義はあると考えています。後は、事業者側が、自らの将来を考えて行動してくれることを期待しています。大きな、また速報性のあるメディアへの露出は一区切りと思われますので、取り急ぎ、備忘録的に、確認できたメディア露出を並べておきます。■1月15日(金) ・TBS系『ひるおび!』コメント紹介■1月16日(土) ・テレビ朝日系『週刊ニュースリーダー』スタジオ生出演■1月18日(月) ・RKB毎日放送ラジオ『インサイト』生出演(電話)・日本テレビ系『ZIP!』インタビュー紹介・日本テレビ系『スッキ!!』インタビュー紹介・TBS系『ひるおび!』スタジオ生出演・テレビ東京系『ワールドビジネスサテライト』インタビュー紹介■1月19日(火) ・TBS系『ひるおび!』スタジオ生出演・TBS系『Nスタ ニュースワイド』コメント紹介・TBSラジオ『荻上チキ・Session22』スタジオ生出演・『週刊朝日』コメント紹介■1月20日(水) ・TBS系『ひるおび!』スタジオ生出演・テレビ朝日系『報道ステーション』インタビュー紹介■1月21日(木) ・TBS系『ひるおび!』スタジオ生出演■1月22日(金) ・共同通信配信記事(地方紙等に掲載)コメント紹介■1月23日(土) ・読売テレビ/日本テレビ系『ウェークアップ!ぷらす』スタジオ生出演