カテゴリ:ホテル業・観光産業
『運輸と経済』3月号に掲載された私の論稿「高速ツアーバス事業の現状と課題」に対して、老舗路線バス事業者の社長さんから直々にご感想、ご意見を頂戴した。その内容については、なにぶん立場の違いからすれ違いもあり私なりの反論も可能ではあるが、なにせ社長ご自身のお言葉である。有名な社長さんだけに感激すると同時に、大変な重みを感じた。わかっていたつもりの路線バス事業者の気持ちを、あらためて認識させられた。
それだけに昨日は一日中、自分のやっていることが本当にバス業界のためなのか考え込み仕事が手につかなかったが、いや、何度考え直しても、私のサイトに対する路線バス事業者の感情的な反発を取り除いて、マーケティングの観点から高速路線バスのお手伝いをすることこそ、私の役割だろうと思う。頭で考えるとそうなのだが、路線バス事業者のお気持ちがわかるだけに……。いやいや、弱気にならずに背筋を伸ばしてがんばらないと。 気を取り直して、週末に泊まった宿のお話しを。私はホテルを退職してからもホテルや旅館に泊まるのが大好きで、特に小さなリゾートホテルによく泊まる。今回は少し方向性は違うが、中禅寺湖温泉(栃木)のホテル四季彩さんにお邪魔した。 湖畔の静かな立地。何より源泉から12kmの木管を流れてくると言う白濁したお湯は最高だった。客室も「お洒落なリゾート」風に改装され満足だった。畳の和室だが、リゾートで最近流行の「和風ベッド」、小上がりになっていて布団が常時しかれているので、いつでも横になってくつろぐことができる。食事も内容はお仕着せながら、レストランで摂るので熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいままおいしくいただくことができた。何より布団の上げ下げや配膳のために仲居さんが部屋に何度も出入りすることはなく、こちらのペースで楽しめる。その意味では明らかにホテルに近いスタイルだ。 が、ちょっとだけ惜しかったのは、食事やチェックアウトの時間設定。夕食スタートは遅くて19時、朝食も9時まで、チェックアウトが10時ではいずれもちょっと早すぎる印象だ。部屋に入ってくつろいだらもう夕食。朝は目覚ましで起きて、朝食後みだしなみを整えたら出発では、平日とさほど変わらない感じ。私もホテルで働いていた身。宿側の事情はよくよくわかるのだが、ホテルのサービスをベースにしたリゾートには、チェックインが15:00と遅めで、その分アウトも13:00という宿も最近は多いだけに、この設定では何となく宿側のペースに合わせて「滞在させられている」感じがする。 ここは、実は産業再生機構の支援を受けて生まれ変わった宿である。栃木の宿は、観光地としての日光の地盤低下、バブル崩壊後の社員旅行やゴルフ旅行の減少、それに地元地銀の破綻により多くの宿が産業再生機構のお世話になった。「背水の陣」だからこそ、思い切ったサービスの見直しや改装が行なわれており、高度経済成長時代を髣髴とさせる「昔ながらの旅館」から、利用者の満足度にこだわった「新しい時代の旅館」に生まれ変わっている。ただ、本当に残念なことに、そこに流れる時間だけが、ホテル時間ではなく旅館時間のままなのだ。 十分に満足させていただいたが、もしこの「流れる時間」だけが違えば、あと数千円高くても私はリピートするだろう。ちょっと惜しかったから、その点を書かせていただいた。さらにあえて申し上げれば、流れる時間がお客様ベースに変わるためには、支配人クラスや一般スタッフが本当に旅館の滞在が好きで、他の旅館(場合によっては自分の宿)にたくさん泊まってみることが必要だろう。そのとき、本当の意味でこの宿の再生が完了するはずである。 ※お客様のペースで滞在を楽しむ、という点で「昔ながらの旅館」よりもホテルの方が上、という前提で書かせていただいた。あくまで、高度経済成長時代以来の、大手旅行代理店にだけ都合のいい画一的な旅館サービスを悪く言っているのであり、本来の日本旅館がもつ良い点は、それはそれで大切だと思う。また、上記感想はあくまで私の主観である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.18 18:44:33
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