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成定 竜一~高速バス新時代~

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2010.03.11
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カテゴリ:高速ツアーバス
本日から、富山県のイルカ交通の高速ツアーバスの取扱を開始した。イルカ交通といえば、乗合バス事業にまったくの新規参入でありながら2008年に高速路線バス(高岡~名古屋線「きときとライナー」)を運行開始したことが特徴的である。私も「きときとライナー」のニュースを聞いた際には大変驚いた。道路運送法が改正されて以後も、乗合バス事業については事実上のさまざまな参入障壁が残り続けたため、しばらく高速路線バスへの新規参入は見られなかったからだ。そのあたりは東京海洋大の寺田先生が詳しいが、既存事業者の越境的新規参入や、既存事業者の分社子会社による参入などを除くと、高速路線バスへの純粋な新規参入は富士交通/桜交通、おびうん観光(ただし既存事業者と共同運行)、それにこのイルカ交通くらいだろう(空港連絡バスを入れると、高知駅前観光の例もある)。

本ブログの読者の方にはイルカ交通は人気なのか、たしか2度ほど、「イルカ交通を取り扱ってください」というようなコメントをいただいた。特に2度目のときは、ちょうどイルカ交通と細かい打ち合わせを進めていたタイミングだったから、しかし個別の案件の進捗状況をこのブログに書くわけにはいかないから、なんとお答えしたらいいか迷った記憶がある。

私たちが同社とお話をし始めたのはずいぶん前の話になるのだが、双方でかなりゆっくりとお話を進めてきた。上記のようにファンの方にはずいぶん人気のある同社だが、やはり既存事業者の反応を考えると、大手事業者の乗合商品よりも先にイルカ交通の商品を取扱うことは私たちにはずいぶんとリスキーだったからだ。イルカ交通の経営者である村西会長は、既存事業者の既得権益に風穴を開けようというよりは、新しいことにいろいろ取り組むのが本当に大好きなだけ、というメンタリティだと思われるが、既存事業者のなかには、「新しいことに取り組む」会社自体に極端にネガティブな反応を示す方が多い。

今回は、イルカ交通の「次の、新しいこと」として、東京線の高速ツアーバス「ドルフィンライナー」をまずは毎週1回、自社で企画・運行することになり、私たちはその販売のお手伝いだ。空港連絡などを含む、比較的短距離の路線や昼行路線は高速路線バス形式で、比較的長距離の路線は高速ツアーバス形式でと使い分けるのは、上記の高知駅前観光のほか、サンデン交通、イーグルバスと共通で、当面(つまり新制度ができるまで)のひとつのあり方ではないかと思われる。高速路線バス名古屋線「きときとライナー」の取扱については今の時点でははっきりと書けないが、実現したら当然この場でもご紹介することになるはずである。

私たちでも乗合商品の取扱が開始しそれが大きく報じられ、それがさらに拡がりを見せそうな手ごたえを実感している今のタイミングでイルカ交通の取扱を開始するというのは、ちょうどいいタイミングだったわけだ。しかしまあ……せっかくこのように地方の新興バス事業者のチャレンジをお手伝いするという前向きなニュースのはずなのに、「業界の秩序」なるものに配慮しなければならないこの業界の実情を考えると、いやいや、悔しいというか、悲しい思いさえしてくる。

ぜんぜん別の話になるが、私のサイトで高速路線バスの取扱を開始したことを聞いて、ある高速ツアーバス企画実施会社の担当者が、「ウチら、これからは“路線さん”とも戦うことになるんですね」と言っていた。その会社はかなり手広く高速ツアーバス事業を行なっておりその担当者とも私が今の会社に入社して以来の付き合いだから業界の「古株」に当たるわけだが、その彼の上記発言は、高速ツアーバス各社は高速路線バスと戦っているつもりはこれまで一切なかったことをよく表わしている。昨日書いたように、高速ツアーバス各社は新しいマーケット(例えば私のサイト。もちろん各社の自社サイトも含めたウェブマーケティングの世界、といってもいいだろう)において、他の高速ツアーバスと毎日、いや毎時毎分競争しているわけで、“路線さん”のことなどほとんど視野に入っていなかったのだ。高速ツアーバス各社は新しいマーケットを求めて、かつその新規マーケット内で少しでも大きな存在感を得ることを目指して競争し、その競争がさらにマーケット拡大を加速させてきた。

高速路線バスの世界では、ダブルトラックがまったくないとはいえないものの、おおむね事業者同士の競争はない。いろいろ確執?がないわけではなさそうだが、とはいえ既存事業者同士は相互不可侵の関係だ。それに慣れている既存事業者の皆さんは、高速ツアーバス各社(と、イルカ交通のような新規参入事業者)が一致団結、束になって攻めてきているような印象をお持ちのようだ。しかし実際に高速ツアーバス各社は、“路線さん”のことを意識する前に、むしろ自分たちの世界での競争に忙しい。その競争こそがマーケット拡大を誘引しているから、外から見れば「一致団結、仲良くやっている」と見えるのかも知れないが、高速ツアーバス企画実施会社同士は一義的には競争相手だ。既存事業者から「成定さんの所が4条の高速バスを扱ったりしたら、ツアーバス会社は怒らないの?」などと聞かれることも多いが、高速ツアーバス各社は競争の中でビジネスをするのが当たり前であり、私のサイトで高速路線バスを扱っても彼らにとっては既に数多いコンペティターが1社増えるだけに過ぎない。既存事業者の側から「ツアーバス陣営は」などという発言を聞くたびに、両方の「陣営(?)」の気持ちがわかる私には、あまりにも一方的にかつ過剰に意識しているのが見えて、少し悲しいというか、むしろ滑稽にも見えてくる。

まあ、どのような背景があれど、イルカ交通のような元気な新興事業者のお手伝いができるというのはうれしいことだ。とにかく面白いこと、新しいことをするのが大好きなイルカ交通の村西会長が次はどんなアイデアに挑戦なさるか、楽しみに待っていよう。





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Last updated  2010.03.11 19:53:23
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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