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成定 竜一~高速バス新時代~

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2013.08.08
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カテゴリ:高速ツアーバス
後回しにしていた出張が溜まっていて、今週の高速バス移動は合計2500キロ程になりそう。それでも出張で高速バスを選べるようになった点に、修羅場の1年が終わったことを実感。

本音を言うと「移行組」各社の運用(特に乗車オペレーション)が心配なのだが、もう高速ツアーバス連絡協議会も解散するし、これ以上立ち入る義務はない。前にも書いたように8月1日の夜に鍛冶橋の現場を走り回らせてもらったのを「記念」として、個別の契約がある一部の会社を除き、私はもう、「移行組」各社とは無関係なのだ。

とはいえ友人たち(おおむね「既存組」のバス事業者か、愛好家。そしてなぜか?愛好家というのは「既存組」のことは詳しいが旧・高速ツアーバスのことは詳しくない)からの質問で多いのは乗車オペレーションについてだ。乗合化するということで、どうも「既存組」の「座席指定制」のオペレーションを採用すると考えていた面々が少なくなさそうだ。

しかし実際には「移行組」のほとんどが、高速ツアーバス時代と変わらないオペレーションを行なっている。ちなみにけっこうな数の「移行組」を受け入れたYCATなど、羽田線や県内高速バスなどの「定員制」、成田線などの「予約定員制」、西武バスなど「既存組」高速乗合バスの「座席指定制」に加え、「移行組」各社は従来通り「チェックイン型」を採用しており、さらにそのチェックイン型には「完全予約制」で申請した会社とそうでない会社が混在しているという複雑さ。しかし現場は多少のバタバタはあれど回っている。

新宿地区なども、停留所名称こそ「高速バス西新宿」で統一されているが(ちなみに私の命名)、各社が用意した待合施設で必ず事前チェックインをする必要があり、ウェブ画面や予約確認メールなどでは停留所および発車時刻ではなく、待合施設の場所と集合時刻が案内されている。ここがどうも、「既存組」の運用に慣れている面々には不思議に映るらしい。

この「既存組」高速乗合バスの運用(以下:乗合型)と、旧・高速ツアーバスの運用(以下:ツアー型)の差が生まれた背景はシンプルで、前者が鉄道(というかマルス)の考え方をベースにしているのに対し、後者が航空やホテル、さらには旅行業界の考え方を元にしている、というだけの話。蛇足ながら法制度上は特に運用方法について制約はなく(当たり前か)、どちらの運用が自社の商品や販路構成と合っているか、という点で選べばいい。余談だが、共同運行化する前の中央高速バス富士五湖線は、富士急便のJTB発券分のみがチェックイン型だったのは懐かしい思い出。

ポイントは、「座席をいつアサインするか」という点に尽きる。乗合型が、予約時点で座席番号まで決定する(乗客に伝えるかどうかは別。きわめて例外的に一度決めた座席を事業者都合で変更するケースもあるが、その場合も必ず代替の座席を確保する)のに対し、ツアー型は、座席定員まで予約を受け付け、出発直前に事業者側が全予約をまとめてアサインするという違い。それぞれにメリットとデメリットがある。

ツアー型の長所は、座席アサインが合理的にできること。乗合型のように虫食いに席が埋まることはなく、遅く予約したグループ客が離れ離れになることはない。窓側などの希望も(よほど希望が集中しない限り)反映できる。女性客は後方、男性客は前方にアサインする「女性安心」マークを「移行組」各社がそれこそ「安心」してウェブ上で表記できるのもこの運用だからだ。乗下車場所ごとに号車を分け、配車を合理化することも容易だ。

さらに、それを上回る長所が販売面。旅行業界は(JTBなど「総合大手」を除き)商品を企画するホールセラーと、店舗を構え複数のホールセラーの商品を代売するリテーラーとに分かれるが、リテーラーに販売を委託する際の運用は簡単な方が喜ばれる。ツアー型だといちいち電話等で号車・座席番号のやり取りをする必要がないのだ。「移行組」の高速バスには、TDRなどテーマパークを組み込んだパッケージの一部として組み込まれている例が多いから、簡単には乗合型には変えられないだろう(TDRについては、「既存組」の長距離高速バスはあまりうまくいかなかったが、運用がツアー型であったならば歴史は変わっていたかも知れない。もちろんそれ以外の要素も大きいけれど)。

したがって乗客は自らの号車・座席番号を知らぬまま乗り場に集まるので、必ずチェックイン作業が必要な点が短所。チェックインが必要な以上、乗客は早めに集合場所に集まる。これが「集合場所でのタムロ」問題につながる。<「既存組」にも路上の高速バス停があるじゃないか?>という指摘もあるが、コンビニや飲食店で適当に時間をつぶして直前に集合する乗客が多い「既存組」とはここが異なるのだ。今回の待合施設設置の件は、本質的には待合そのものよりも「集合」と「乗車」を分離する意味の方が大きい。

そこまでしても(また、チェックイン要員のコストをかけても)、夜行路線に関してはツアー型の方が合理的な面は多いなと私は感じている。だから、制度上乗合化したという理由で運用も乗合型に変える会社はほとんどないだろう(続行便を出しづらい状況では若干流れは変わるかもしれないが)。もっとも象徴的なのが神姫バスだ。姫路・神戸~新宿線の「既存」の高速乗合バス「プリンセスロード」の基幹システムは発車オーライネット(持ち席管理でSRSも使用)で運用は乗合型。一方で今回の件で乗合化した神姫観光バス運行の「ハートライナー」の基幹システムはドリームジャーニーで、当然運用はツアー型(神姫バスの高速バス予約センターで、プリンセスロードが満席の日などハートライナーの案内をしたりしてるのかなあ)。

ただ、そんな「差」を冷静に見つめ、お互いに学べなければ進歩もない。「異文化」を重ね合わせ、オペレーションの進化や、システム開発のアイデアという面で業界を前に進めることこそ、私が業界のお手伝いできる最大の役割に違いない。





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Last updated  2013.08.08 15:30:59
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Re:本日は「オペレーション(運用)」の話(08/08)   あーる さん
移行組の大部分では、今まで座席指定していなかったのは知りませんでした

ターミナルの窓口や電話予約のようなレガシーなやり方ではなく、ITを活用した販路を拡大するのならば、乗客に席を知らせずに直前に席決めする解決策もありなんですね。
考え方としては参考になります (2013.08.08 23:13:34)

Re[1]:本日は「オペレーション(運用)」の話(08/08)   nalys さん
あーるさん、成定です。コメントをいただきありがとうございます。

さて予約時座席指定か直前アサインかの件ですが、たとえば高速本線上の途中停留所で乗車扱いがある路線だと、「乗合型」でないと対応できません。お客様は、自分が何号車かわからないまま、不安を覚えながら先に来た号車を見送る…ということになってしまいます。その他、それぞれの強み弱みがあるので、お互いに参考にすることが重要ですよね。別にむずかしい話ではなく、「既存組」の乗合バス事業者でも、自社主催のバスツアーや定期観光バスでは「ツアー型」のオペレーションを普通にやってたりしますし(そういえばアルピコ交通の「さわやか信州号」も、乗合化し京王のターミナルに乗り入れ開始したのに、京王のターミナル内で「ツアー型」のチェックインをやってますね。スタッフの制服といい、いわゆる「ツアーバス」そのもので不思議な感じです)

またコメントをお待ちしております。 (2013.08.13 18:10:49)

高速バス西新宿   Simon さん
成定さん。先日はお返事ありがとうございました。
新宿のバス停協議はお疲れ様でした。
できあがった高速バス西新宿のバス停ですが、今度はアクセスの問題が出ますね。せっかくWEバスのバス停を利用したのだから、WEバスの運行時刻も調整し、シャトルとして活用できるようにした方が更なる利便性向上につながるのではないでしょうか?

PS.
さわやか信州号白馬線の中央道三鷹BTで どのようにチェックインするのか楽しみです。(一度は中途乗車してみたいです。) (2013.08.22 05:57:17)

Re:高速バス西新宿(08/08)   nalys さん
Simonさん、コメントありがとうございます。

西新宿をはじめ停留所調整については今回はいろいろな思いがあります。その中でWEバス活用の件はご提案ありがとうございます。集合はあくまで各待合施設ですから、WEバスを活用しようとすれば各待合施設の前にWEバス用の停留所を新設……あの調整を(たとえ京王さんの路線とはいえ)各関係者と再び、と思うだけでぞっとします。というのは半分冗談ですが、今後は「移行組」各事業者が管理団体の力を借りながら自らソリューションを考えていくと思います。やり方に賛否はあれどいろんなチャレンジをしてきた連中ですから、何とかしてくれると期待しています。

あと、たしか「さわやか信州号」でも白馬線については基幹システムはSRSで、「乗合型」のオペレーションをやっているんじゃなかったかと思います(どなたか詳しい方、補足をお願いします)。

引き続きよろしくお願いします。 (2013.08.26 09:13:20)

Re:本日は「オペレーション(運用)」の話(08/08)   浩太郎 さん
久しぶりです。ツアーバスの膿は思いっきり早めに出した方が良いです。座席指定もできない 途中乗車・下車もできないバスをいい加減な運行形態でツアーとして運営していたバス会社・旅行会社はとっとと世の中から消えてなくなっても問題ないでしょう。
昔から貸切形態をツアーとして運行することは 主にエアコミュータ始まり、一時のスキーバスでままありましたが、高速ツアーバスは正直掟破りの観が強かったですね。そして現状がある。ツアーバス運行会社(移行組?)には申し訳ないですが、収まるべくして現状に収束してきています。その原因と 自分たちが如何にいい加減なことをしてきたことが多いかを自制すべきでしょう(例外もまああるかもしれませんが) (2013.10.04 00:47:03)

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