2010170 ランダム
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第27話 稚拙な指揮官

第27話 稚拙な指揮官

「エヴァンゲリオン発進!!」

ミサトの号令によって、地上に打ち出される初号機。
加速によるGに耐えながら、モニターを見据えるシンジ。
地上に打ち出された初号機は、使徒から少し距離をとった場所に待機した。

「いい、シンジ君。兵装ビルの稼働率はまだ40%だから当てにしないでね。」

「分かりました。」

「敵、使徒のATフィールドを中和しつつ、パレットライフルによる射撃を行って下さい。」

「分かりました。」

よくは、分からないけれども目の前にいる使徒のATフィールドを中和するようイメージしてみる。

超合金魂エヴァンゲリオン初号機

超合金魂エヴァンゲリオン初号機

「良いわ、シンジ君。使徒のフィールドは中和されているわ。ライフルで攻撃して!」

「分かりました。」

シュミレーション通りに、照準を合わせ、ライフルの引き金を引く。
轟音を上げてライフルから劣化ウラン弾が打ち出され、次々と使徒の身体に吸い込まれていく。
シュミレーションだと、これでミッション成功となって次のステージに移る所であるが、シンジは一抹の不安を覚えた。
使徒に着弾して砕けた劣化ウラン弾によって爆煙が起こり、使徒の姿が見えなくなったからである。

「馬鹿!爆煙で敵の姿が見えないじゃない!!」

ミサトの無責任な文句に突っ込む間もなく、シンジは地面を転がった。
それまでシンジがいた辺りのビルが切り裂かれている。

「どうしたの?何が起こったの?」

現状を把握できないミサトに代わり、シンジに指示を出すナーマオウ。

「シンジ、敵の武器は鞭のようデス。ビルを容易く切り裂く威力から見てもエヴァの装甲で耐えられるとは思えまセン。」

「ちょ!ちょっと!部外者が勝手に何を言ってるの!!」

「シンジ!鞭はやばいぞ!先端のスピードは音速を超えるで!見切ろうなんて思うったらアカン!鞭の間合いの中に入るんや!」

「な、なにを言うの?!あの武器の射程の中に入ったらどうなるか分からないわ!シンジ君!予備のライフルを出すわ!距離を取ってライフルで攻撃よ!」

「シンジ、そのライフルは役に立ちまセン。」

「そんなモン捨てて、中に切り込め!お前なら出来る!!」

「部外者が勝手に指示を出さないで!!!」

ミサトが狂ったように叫んでいるとき、シンジは錯綜する指示に混乱・・・・・・・・など、していなかった。
シンジは、自らが最も信頼している人の指示だけを頭に入れ、ライフルを捨てた。
そして、ミサトのあげる叫び声を聞き流し、使徒に向かって駆け出して行った。


続く


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