2009/04/11(土)06:32
上田早夕里「魚舟・獣舟」読了しました♪
【魚舟・獣舟】上田早夕里
現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚舟、獣舟と呼ばれる異形の生物と人類との関わりを衝撃的に描き、各界で絶賛を浴びた表題作。寄生茸に体を食い尽くされる奇病が、日本全土を覆おうとしていた。しかも寄生された生物は、ただ死ぬだけではないのだ。戦慄の展開に息を呑む「くさびらの道」。書下ろし中編を含む全六編を収録する。
ブログのお友達日向永遠さんから教えていただきました~ (日向永遠さん、ありがとうございます!!)
すごい作品でした。まるで日本のSF小説じゃないみたい。
6つの短編が収められていますが、どれも奇想天外な発想で度肝を抜かれました…。
特に、nanacoは表題作「魚舟・獣舟」「くさびらの道」「小鳥の墓」が好みでした
「魚舟・獣舟」
舞台は、陸地の大半が水没した未来世界。
たった30ページ程の短い作品にもかかわらず、この圧倒的な存在感はなんだろう。
"魚舟""獣舟"という異形の生き物、そしてその生き物に密接に結びついている人間達。
もはや依存関係としか表現しようのない結びつきが、とても痛々しい…
ネタバレになるので多くは語れませんが、この世界観は凄いです。
いずれ、この作品と同じ設定の長編が書かれる予定とのこと。
これだけで終わるのは勿体ないと思っていたので、すんごく嬉しいですー!!
「くさびらの道」
日本中で、身体を茸に食い尽くされる…という謎の奇病が蔓延する。
寄生茸は毒素を放出し、人々に既に死んだはずの家族や恋人の幻覚を見せるという。
毒素に覆われ、崩壊し打ち捨てられた町。
「助けて…助けて…」と、人々を惑わす幽霊達の叫び。。。
一見ホラーっぽい題材ですが、残された者達の苦悩と悲しみが怖さを和らげています。
「小鳥の墓」
短編…というより、これはもう中編だよね~
実は、この作品を読んで真っ先にあさのあつこさんの「NO6」を思い出しました。
ダブルE区は誰もが住みたいと願うクリーンな理想都市。
一見理想郷のように見えるが、裏で徹底的に管理・規制された社会。
そして<外>の町は、暴力や犯罪が日常茶飯事の、ダブルE区とは正反対の荒廃した町。
自分の置かれた環境に違和感を感じているエリート少年と、社会に反抗する不良少年。
まるで「NO6」の紫苑クンとネズミみたいじゃない。
この作品、作者のデビュー作「火星ダーク・バラード」の前日譚とのことで。
「火星…」のほうも文庫化されているので、是非読んでみたいです~
装丁も綺麗だよね♪
レビューが長くなってしまいましたね…(汗)
上で紹介した以外の作品も、それぞれに突飛な発想で面白かったです。
上田早夕里さん、これから要チェックの作家さんですねぇ
それにしても「火星ダーク・バラード」………
文庫なのに1000円もするんですか。高いぞー!!!