おこずかいをあげる目的のその1、
お金は使えば減る、もしくは無くなるということは、
太吉にもすぐにわかったようです。
なんせ100円ですから、友達に付き合って買い食いをすれば、
駄菓子と言えども、すぐにお金はなくなってしまいます。
考えてみれば、お菓子はたいがいおうちにありますから、
自分の大事なおこずかいを使うことはありません。
そこで、かなり早い段階で、太吉は買い食いすることは
なくなり、出かけるときには、家にあるお茶やお菓子を
持って行くのが、当たり前になりました。
この習慣が身についていてよかったなぁと思ったのは、
小学5年の時です。
公園で友達と遊んでいたら、ちょっとワル系の友達がやってきました。
その子たちも一緒に遊んで、しばらくすると、お腹が減ったから
近くのコンビニにお菓子を買いに行こうと誘われたそうです。
太吉が、お金を持っていないからいいと断ると、
その友達はおごってやるからついて来いと言いました。
「ワルやけど、僕には優しいいいヤツやねん。
でも、それ以上断って怒らしたら、ケンカ強いしこわいから、
ついて行ってん。
10円か20円くらいのお菓子、おごってもらったら
それですむやろと思ってな。」
ところが、その子はポケットにお札を何枚も持っていて、
太吉ともう一人お金を持っていなかった子に、千円ずつ渡して、
「これで好きなもん買いや」と言ったそうです。
太吉は、もうビックリ!
「僕、お菓子を千円分なんて買ったことないし、こんなことしたら
あかんって思って断ってんけど、『ええから使え』って言うし。
ほんでその子が怒らん程度にどうしようか、必死に考えて、
もう一人の子と二人で千円でいいわ言うて、なんとか500円ずつ
お菓子買ってん。
それでも、そんなにいっぱいお菓子買ったことないから、
もうドキドキしたわ。
楽しいことなんてあらへん。こわかったわ~!
で、このお菓子どうしよう・・・。」
そう言って、袋いっぱいのお菓子を済まなそうに
私に差し出したのです。
<つづく>
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