七転びなおきの徒然日記

2008/11/04(火)22:39

10年遅い?

 「医学部定員、693人増へ=77大学で来年度から-文科省」という記事がネットで掲載された。(時事通信)  「医師不足が深刻化している問題で、文部科学省は4日、77大学が2009年度に医学部の入学定員の拡大を計画し、増員数は計693人に上るとの集計を発表した。定員は全国で8486人となる見通しで、ピークだった1980年代前半の8280人を206人上回る。」  少なくとも10年遅い!今から増やしても、卒業して現場で活躍するようになるには、10年から15年はかかる計算になる。前回書いた少子化の問題もそうだが、こんなに正確に予測可能な問題になぜもっと早くに手を打てないのかと思う。  だが、この問題の予測誤りは、そもそも、厚生労働省の「医療費削減」に向けた医師の減員計画が、完全にコントロール不能となり、現在の事態を招いたと考えられる。厚生労働省の役人が行う医療費削減のための計算は「机上の空論」であり、世の中の実態を把握できてないことが悲劇を招いている。  また、使命感を持って医師になられた方であっても、過労による自らの肉体的精神的疲弊やプライベートの喪失、そして医療過誤によるリスクを嫌って、早期引退やより安全な診療科へのシフトなども、大勢の流れとしては、まず自らを守ることが先決だと言われれば、そう非難するわけに行かない。  しかし、それにしても行政は、もっと早く気づいて訂正することは十分可能だったに違いない。一度決めたことは、余程のことがないと方向転換しないのは、方向転換が自らの過ちを認めることになるからと考えられ、悲劇はさらに大きくなる。聞くところでは、大学の医学部の定員等は文部科学省の管轄、医者になるところからは厚生労働省の管轄と、縦割りの食い違いもあるらしい。  近年多発している救急患者の「たらい回し」も、今に始まったことでなく、潜在的な逼迫状態はとっくの昔に始まっていたということは、新聞やニュースだけでなく、医療現場から沢山声が上がっていたのを聞いていたはずだ。病院や医師を攻めるより、そうした行政の政策誤りを攻めるべきでは?

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